DAY2はA、Bで差がなければ100点満点
2日目は試聴を交えた作業となる。ここで何をするかと言えば、AとBとCの音を比較してどれがいいか選ぶという比較試聴だ。これは好みの音を追求する訳ではなく、自分ダミーヘッドを元に作成した補正の結果が正解かどうかの答え合わせをする日になる。AとBとCに差がない場合はスキップという選択肢があり、全曲スキップなら100点満点となりパラメータのアライメントは不要となる。
普段の試聴では、機器の差異を探すために何度も同じ曲を聞き直すが、今回は差がないのが正解なので気が楽だ。深く考えすぎないことという指示もあったので、ポンポン選んでいくと20分ぐらいで作業完了。これで自分ダミーヘッドの結果が最終調整され、正しい音色が再現されるようになるはずだ。
調整済のイヤホンから、さまざまな音が再生される。A、B、Cを比較して選択という作業を繰り返す
自分ダミーヘッドサービスが完了した「ZE8000」にはJDHの頭文字がレーザーで刻印される
専用アプリを起動してペアリングすると左上にJDHのアイコンが表示される
音色を比較するためON(Reference)/OFFに加えて、「RF None」「RF+n」というポジションも選べる
変わるのは音色だけではなかった!
自分ダミーヘッドサービスで変化があるのは音色という説明を受けた。音色とは
●音の大きさ(音量)
●音の高さ(周波数)
●音の音色(高さ、大きさ、長さが同じ2音の差異)
音の大きさと高さを除いた音に関する印象を意味するという。形容詞で言えば、明るい、暗い、ホット、ウォーム、クールとか。ウェット、ドライ、なめらか、ざらざらなどの言葉になる。もちろん、それ以外の要素も自分ダミーヘッドサービスで調整することはできるが、finalでは音楽を聴く上で重要な要素である音色に着目しているという。
私はハイレゾ音源の登場によって、音の空間印象の再現度が高まっているため音場感や音像定位を大切にしたいと思ったが、濱﨑さんによれば音楽はステレオ2chで制作されることが多く、さらなるマルチチャンネルであれば音の空間印象は重要だが、ステレオの場合は音色が重要と考えたそうだ。とは言え、完成した自分ダミーヘッドのReferenceモードで音楽を再生すると、高域のヌケが良くなって、音像定位もよりシャープになる。言い換えれば、暗い音から、明るい音へ。ふわふわした輪郭がかっちりとした。これによって音のフォーカスがきっちり合って音楽の見通しが良くなったのだ。
「そのような効果があるかもしれません。自分ダミーヘッドサービスで得られる結果は各人がそれぞれで、その効果を他人が体験することはできません。自分が自然に感じている、自分の耳に自然に思える音が出てきます。どんな印象を受けたかは、その人の感性で音色を別の言葉に置き換えて表現していますね」と濱﨑さん。