2024年3月4日に日経平均株価が市場最高値を更新する4万257円28銭を記録。企業の業績回復に期待が集まる中、岸田首相も経済3団体に向けて物価上昇を上回る所得増を目指して「力強い賃上げ」を実現するよう呼びかけるなど、賃金改善への動向も注目されている。
そこで、帝国データバンクは、2024年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施。先日、その結果を発表した。
本調査はTDB景気動向調査2024年1月調査とともに行なわれた。
2024年度は過去最高となる59.7%の企業で賃金改善を見込む
2024年度の企業の賃金動向について聞いたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は59.7%と3年連続で増加、2006年の調査開始以降で最高を更新。一方、「ない」企業は13.9%と前回調査(17.3%)から3.4ポイント低下、調査開始以降で最も低い水準だった。
賃金改善の状況について企業規模別にみると、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の3規模すべてで、前回調査の2023年度見込みから賃金改善見込みの割合が上昇している。
また、従業員数別では、「6~20人」「21~50人」「51~100人」「101~300人」で6割を超えている。「5人以下」(41.3%)では賃金改善を行う割合が低くなっているが、初めて4割台に達した。
他方、賃金改善を実施しない割合は「5人以下」(31.6%)が突出して高い。従業員数が21人以上の企業では、賃金改善がない企業はいずれも1割未満にとどまった。総じて従業員が5人以下でより賃金改善を行なう環境が厳しくなっている様子が推察できる。
業界別では『製造』(64.7%)が最も高く、『運輸・倉庫』(63.7%)や『建設』(62.5%)が続いている。2024年4月から時間外労働の上限規制が始まるトラックドライバーや建設業界などで、賃金改善を実施する企業の割合が昨年より高まっていた。
賃金改善の具体的な内容をみると、「ベースアップ」が53.6%(前年比4.5ポイント増)、「賞与(一時金)」が27.7%(同0.6ポイント増)となっている。「ベースアップ」は過去最高となった前年の49.1%を上回り、3年連続で調査開始以降の最高を更新するなど、初めて半数を上回った。