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「起業家(企業家)精神」と訳されることもある「アントレプレナーシップ」という言葉。
近年では、アントレプレナーシップ教育に力を入れる教育機関や企業も増えている。しかし、言葉を見聞きしたことはあっても、具体的にこの言葉がどのようなマインドやスキルのことを指すのかをイメージできない人は少なくないだろう。
そこで本記事では、アントレプレナーシップの意味や、アントレプレナーシップ教育の内容について解説する。アントレプレナーシップ教育の実施を検討している場合は、最後に紹介する取り組み例もチェックしよう。
アントレプレナーシップの意味と必要性
「アントレプレナーシップ」は、フランス語で「起業家」「事業家」を意味する「アントレプレナー」に由来する言葉。世の中のさまざまな困難を解決すべく、新しい商品やサービスを解決策として打ち出し、リスクを恐れず積極的に立ち向かう姿勢のことを表す。
なお、アントレプレナーシップの細かな定義は経営学者や教授、あるいは企業などによって異なる。「姿勢」として定義するものもあれば、「行動すること」を定義するものもあり、さまざまだ。
■アントレプレナーシップはなぜ必要とされる?
日本は他国に比べて起業率が低く、アントレプレナーシップの素養を持った人材が少ないと言われている。毎年、18 歳から 64 歳までの成人を対象に行われる企業意識に関する調査「グローバル・アントルプレナーシップ・モニター(通称:GEM)」では、「起業に適した機会があるか」「起業に興味があるか」などの調査項目において世界的に低い水準となっているのが現状だ。
また、2023年版の「世界競争力年鑑(国際経営開発研究所より)」でも、日本の競争力総合順位は35位と、過去最低順位を更新したとの発表がある。
社会が目まぐるしく変化する昨今、アントレプレナーシップは、これからの時代を生き抜くために必要とされる能力や態度、マインドと言えそうだ。
アントレプレナーシップ教育とは
アントレプレナーシップの必要性が高まる現代では、アントレプレナーシップ教育を取り入れる学校や企業も増えつつある。例えば早稲田大学の「アントレプレナーシップセンター」や、武蔵野大学の「アントレプレナーシップ学部」など、さまざまな制度やカリキュラムが導入されている。
■アントレプレナーシップ教育で目指すスキル
アントレプレナーシップ教育で獲得を目指すスキルとしては、以下のようなものが挙げられる。
・メンバーを巻き込み目標達成へと導く統率力
・新たなアイデアを生み出す創造力
・新たな物事を受け入れ、積極的に学ぶ意欲
・失敗やリスクを恐れないマインド
・失敗しても諦めない忍耐力
・人脈形成が可能なフットワークの軽さ
・多様な意見を引き出しまとめあげる傾聴力、調整力
■文部科学省でも取り組みが行なわれている
文部科学省では、アントレプレナーシップ教育に関わる取り組みの一環としてアントレプレナーシップを身に付けるためのプログラムを開講している。学生向けプログラムでは、グループワークを通してアイデアの策定から実行までを体験することが可能だ。また、生徒に同プログラムを提供するための教職員向けプログラムも用意されている。
アントレプレナーシップを身に付けたい場合は、各所で実施されているアントレプレナーシップ教育に関するイベントをチェックするのもおすすめだ。
アントレプレナーシップ教育の具体例
最後に、企業や学校で実施されているアントレプレナーシップ教育の具体例を紹介する。
■企業におけるアントレプレナーシップ教育の事例
日頃の業務のなかでは、社員の積極性を引き出し、リスクや失敗を恐れないマインドを身に付けてもらうための指導を意識したい。また、アイデアの創出から計画、実行、失敗・成功体験まで、事業化の流れを一通り体験できるビジネスプランコンテストなどのイベント開催は、社員の意識改革に有効な手段といえるだろう。
【企業における取り組み例】
・失敗を責めず次の行動に目を向ける
・裁量権のある業務を与える
・ビジネスプランコンテストを開催する
・定期的な社内研修を実施する
■大学などにおけるアントレプレナーシップ教育の事例
学校でもビジネスプランコンテストのようなイベント開催は有効的だ。生徒の年齢やレベルに応じたプログラムを作成し、応用するようにしたい。また、社会人になってからでは難しい企業との共同プロジェクトを計画するのも良いだろう。
【教育機関における取り組み例】
・起業家や経営者を招き、講演会を行なう
・ビジネスプランコンテストを開催する
・疑似店舗の出店体験機会を作る
・疑似会社の設立体験機会を作る
・企業や地域との共同プロジェクトを発足する
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部