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英語を由来とするビジネス用語には、日本で独自の意味を持つようになったものが少なくない。「コミット」もその一つだ。ビジネスシーンやニュースサイトでよく使われる言葉だが、英語の「commit」とは異なる意味やニュアンスで用いられるケースが多い。また、IT分野では、一般的なビジネス用語とは別の意味で使われる。
そこで本記事では、英語と日本語で異なる「コミット(commit)」の意味と、日本のビジネスシーンやIT業界での使い方について解説する。
「コミット」とはどんな意味?
「コミット」は、英語と日本語で言葉の持つニュアンスが異なる。まずは英語の意味を押さえた上で、日本の意味についても確認していこう。
■英語の「コミット(commit)」は動詞、名詞は「コミットメント(commitment)」
英語の「commit」は動詞(他動詞・自動詞)であり、名詞形は「commitment」となる。日本語の「コミット」は、英語の「commitment」を略した言葉と言われており、「結果にコミット(する)」「コミットが大事だ」のように名詞として使われる。同じ「コミット(commit)」でも、日本語と英語では品詞が異なる点を押さえておこう。
■英語の「commit」は多彩な意味を持つ
英語の「commit」にはさまざまな意味がある。主な「commit」の意味は以下の通り。
【他動詞】
・(人に)~の義務を負わせる・義務付ける
・~への言質を与える、確約する、忠誠を誓う、明言する、立場を明らかにする
・委託する、引き渡す、拘禁する、(金・時間・軍隊などを)投入する・充当する
・(記憶・記録・忘却などに)委ねる
・(罪・過失などを)犯す、(名声・体面などを)危うくする
【自動詞】
・決断する
・確約する
・(結婚などに)踏み切る
・あやまち(不義)を犯す
■日本語の「コミット」は「約束すること」「深く関わること」を意味する
日本語の「コミット」は、「(何かしようと)約束すること」「深く関わること」の主に二つの意味を持つ。英語が由来のカタカナ用語だが、英語の「commit/commitment」とは意味が異なる点に注意したい。
ビジネスにおける「コミット」は「責任を持って取り組むこと」
ビジネスシーンで「コミット」を使う場合は、日本語の意味から進んで「責任を持って取り組む」というニュアンスが加わることが多い。
■仕事の姿勢や成果を表す「コミット」
ビジネスシーンでの「コミット」は、目標や結果に対して「真摯に取り組む」「責任を持つ」などの意味を持つ。基本的には仕事に対する姿勢や頑張る意気込みを伝えたい場合に使われるが、文脈によっては「成果を約束する」とも受け取られるケースがあるため、数字的な確約を求められている場面では使い方に注意しよう。
■ビジネス分野の「コミット」を使った例文
・ビジネスの最重要事項は結果にコミットすることだ。
・フルコミットで取り組んでいく所存です。
・現場にコミットした経営戦略が必要ではないか。
■「コミットする」は表現としておかしい?
日本語の「コミット」は、英語の名詞である「commitment」の略語として使われるため、「コミットする」の使用法に問題はない。広辞苑や明鏡国語辞典にも掲載されている一般的な言葉だ。
■「コミット」の言い換え表現は?
「コミット」を別の言葉に言い換える場合は、主に以下の表現がおすすめだ。
【言い換え表現】
・約束、確約
・関係、関与、参与
・尽力、鋭意努力
ITにおける「コミット」の意味は?
IT分野における「コミット」の意味は、日本語の一般的な意味やニュアンスとは異なる。詳しい意味と使い方をチェックしよう。
■処理を確定させることを意味するプログラミング用語
IT分野の「コミット」は、行なった処理や変更を「確定させる」「反映させる」ことを意味する言葉だ。特に、データベースにファイルを登録する際のコマンド(命令文)を指すことが多い。
例えば、ファイルのバージョン管理システム「Git」に新規作成ファイルや変更後のファイルを登録(保存)する際のコマンドとして「git commit」がある。
■IT分野の「コミット」を使った例文
・ファイルを登録するときは、最後に必ずコミットしてください。
・データベースを触る初心者がはじめに覚える必要があるのは、トランザクション処理とコミットだ。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部