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こんなホテル、どこにもない!世界初のオフィシャル・シャンパン・ホテルが大阪に誕生した理由

2024.03.03

構想から約5年。パンデミックを経て、ようやく開業

客室、バー、レストランでシャンパーニュの世界を楽しめる。

そもそもCuvee J2のプロジェクトがスタートしたのは約5年前。「シャンパーニュ」をコンセプトにしたのは、日本にシャンパーニュ文化を普及させる第一人者のひとりであるプロデューサーの山本一人さんと、温故知新の代表取締役である松山知樹さんとの出会いがきっかけだった。

佐長さん「温故知新は各ホテルのオーナーから運営を任されるビジネスモデルで、まずは2019年に建築家の小川晋一さんより弊社に新ホテル開業のお話をいただきました。

そこで弊社の松山が大阪の繁華街ではあるけれど、メインストリートに位置していない土地にホテルを建てる意味を検討していた時に、山本さんから『各メゾンが一同に集まるホテルはどうか』、と提案を受けたのです。

それは山本さんの夢でもあり、松山も『そんなことができるのであれば、すごいですね』と賛同し、プロジェクトがはじまりました」

フランスの名門シャンパーニュ・メゾンが日本のホテルとコラボレーションするーーそれは文字通り夢のような話だ。

しかし山本さんがプロジェクトを各メゾンに伝えたところ、トントン拍子に11のメゾンが決まったと言うから驚きだ。

佐長さん「山本さんがシャンパーニュ・メゾンにこのプロジェクトを広く発信したところ、『山本さんとなら、ぜひ私たちも一緒にやりたい』と多くのメゾンから賛同をもらえました。ホテルの客室数が11室ということは確定しており、先着順で11のメゾンが決まったという流れです」

工事がスタートし、順風満帆に夢のホテルの実現へと向かっていたのだが、2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症の影響で計画は休止。

佐長さん「通常のホテルではシングル・ツイン・スイートといった型を作れば量産できるのですが、Cuvee J2は11室すべてが異なる客室です。

そのため、各メゾンと1室ずつデザインなどを打ち合わせする必要があったものの、パンデミックによりそれができなくなってしまいました。さらに、外出して飲食店でアルコールを楽しむことが歓迎されない状況だったので、一度すべてを休止しました」

休止して約2年後に目処が立ち、プロジェクトが再スタート。そして2024年1月、ようやくホテルをオープンさせることができた。

佐長さん「2022年秋に弊社松山と山本さんと一緒に、フランスにある11のシャンパーニュ・メゾンへと足を運び、改めて私たちの想いを伝えに行きました。

パンデミックなど大変な状況もありましたが、私たちとしてはこのホテルを造ること自体がとても楽しかったです」

ゲストからも「ほかにないホテル」と賞賛の声

ゲストに好評な「エニータイムバス」。

開業して約1か月が経過し、宿泊客の約9割はシャンパーニュ愛好家の日本人で、約1割は小川晋一さんの建築や新築ホテルに興味を持っている人たち。大阪観光よりも、ホテルを目的として宿泊するゲストが圧倒的に多いと、佐長さんは話す。

佐長さん「滞在の方法はゲストの自由にしていただければと考えていますが、シャンパーニュの世界観に没入する仕掛けをホテルとしては用意しています。

例えば各1室ずつに用意している各メゾンのオリジナル動画は、その客室に泊まったゲストしか見ることができません。

また、24時間いつでも最適な温度のお湯が張られている『エニータイムバス』も好評です。各メゾンの世界観に浸り、客室でゆっくりお過ごしいただけていると思います」

開業してすぐに宿泊したゲストから聞かれるのは、「このようなホテルは、ほかに無いです」という声。満足度が高く、これまでにない体験を提供できていると言う。

佐長さん「現在は我々よりもシャンパーニュに詳しいシャンパーニュ愛好家にお泊まりいただき、ありがたいことに多くの方に喜んでいただいている状況です。

今まで私は2施設の開業の立ち上げに携わりましたが、新規ホテル開業時は改善のリクエストが多いイメージでした。

Cuvee J2では逆にご指摘事項がないことにもプレッシャーを感じていますが、長期熟成が必要なシャンパーニュのように、時間をかけてこのホテルもお客様とともに熟成し、よりおいしくしていけたらと思っています」

11階「テタンジェルーム」。

今後のターゲットは、『これからシャンパーニュについて深く知りたい』という人。滞在を通して、シャンパーニュや各メゾンの魅力を伝えることがミッションだ。

佐長さん「私たちのコンセプトは、『シャンパーニュの世界を知れば、日常はもっと優雅になる』ということ。

現在、日本人にとってシャンパーニュは休日に乾杯として飲む非日常のドリンクというイメージが強いですが、シャンパーニュがお一人ひとりの日常に寄り添うようなアイテムになってもらうことが、我々の使命です。

私もそうでしたが、シャンパーニュとともに人生を過ごすと、幸福度が高まると考えています。ホテルに訪れたゲストに『シャンパーニュがいかに、日常を豊かにしてくれるアイテムか』ということを知っていただくことが、私たちの進むべき道です」

約5年という月日を経て、ようやく開業となった「Cuvee J2 Hotel Osaka by 温故知新」。心斎橋エリアは競争が激しく、観光に便利なホテルはほかに存在するが、Cuvee J2はシャンパーニュという大きな個性で差別化を図ることができている。斬新なコンセプトホテルは、立地の優位性がないホテルの参考の一つにもなるだろう。

・Cuvee J2 Hotel Osaka by 温故知新
HP:https://www.cuveej2.com/

取材・文/小浜みゆ

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