VポイントアプリとモバイルSuicaの親和性
対して、三井住友カードのVポイントはVisa及びMastercard加盟店でクレカやアプリを使うことで貯まるものである。
筆者はもうすぐ『VポイントPayアプリ』という名称に変更されるスマホアプリ『Vポイント』をiPhoneと紐付けて使っているが、これは要するにバーチャルデビットカードである。
世界中のタッチ決済対応Visa加盟店で利用できる決済アプリだ。しかし、そのような仕組みであるからこそ「交通系ICカード王国」日本ではどうしても苦戦してしまうのでは……とも邪推してしまう。
「VポイントアプリとモバイルSuicaの親和性」という段になると、どうしても他社サービスよりも数歩後ろにあると言わざるを得ない。
VポイントアプリからモバイルSuicaへのチャージは、実は不可能というわけではない。試しに筆者のiPhoneに紐付けしたモバイルSuicaへ、やはり同機に紐付けのVポイントバーチャルカードから残高を充当させてみよう。これ自体は特に難なく実施することができた。
が、問題は「Vポイントバーチャルカードへどうチャージするか?」である。三井住友カードのアプリという事情からか、他社発行のクレカを使った場合は1回204円の手数料が発生する。
銀行口座からのチャージも、三井住友銀行の口座からしかできない仕組みだ。
今後の改称に伴う改設計でこのあたりが改善される可能性は、もちろんある。が、現時点でのVポイントアプリは「モバイルSuicaのチャージ元」としてはお世辞にも優秀とは言えない……というのが筆者の感想である。
新生Vポイントがバーチャルデビットカードを普及させる?
ただ、ここは敢えて「見る角度」を変えて考えてみたい。筆者の身の回りを見渡してみても、買い物は未だに現金決済だがTカードは積極的に提示しているという人が何人かいる。
そのような人たちをバーチャルデビットカードの世界に呼び込むきっかけ、それがTポイント=新生Vポイントではないかとも筆者は考えている。
これもまたVポイントアプリの今後の改設計に多分に依存する事項で、今のところ筆者の手元にはVポイントPayアプリで従来のTポイントを管理できる機能、そしてこのアプリで「モバイルVカード」を表示する機能があるという情報が入っている。
その上で、三井住友銀行の顧客以外の人にとっても簡単なチャージ手段を設けさえすれば、アプリの爆発的普及も夢ではないはずだ。
太田社長の「一手」
いずれにせよ、新生Vポイントの話題は今後入念にチェックするべき事項だ。
去年11月にこの世を去った三井住友FG太田純社長が繰り出した一手は、我が国のポイント市場に直接的なインパクトを与える一撃でもある。
もしかしたら、太田社長は10年後には「日本人にバーチャルデビットカードを教えた偉人」として称えられるようになるのではないか。新生Vポイント、そしてVポイントPayアプリはそれほどの可能性を秘めているのだ。
三井住友フィナンシャルグループ(同社グループを総称してSMBCグループ)、三井住友カード、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(同社グループを総称してCCCグルー...
【参考】
ドコモとJR東日本、Android版「d払い」アプリと「モバイルSuica」の連携を開始-PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000776.000017557.html
スマートフォンアプリ「Vポイント」の使い方-三井住友カード
https://www.smbc-card.com/mem/for_vpointapp/howto/charge.jsp
d払いのSuica-d払い
https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/guide/wallet/charge-ic.html
取材・文/澤田真一