変化が激しい時代に対応するスキルを新たに身につける「リスキリング」。すでに自身のキャリアアップのために学習を進めているかもしれない。そんな学ぶ意欲が旺盛なビジネスパーソンにとって知っておきたいのが、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」だ。2つの採択事業例を通じて紹介したい。
経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」とは?
経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、経済産業省がリスキリングと労働移動の円滑化を図ることを目的に実施している施策だ。
転職希望者は、この事業に採択された事業者より「キャリア相談」から「リスキリング講座受講」、「転職支援」までを受けることが可能。
受講費用は、キャリア相談と転職支援は無料で、リスキリング講座受講は負担が軽減される。
さらに転職を実現し、継続就業すれば最大56万円の補助が受けられる。
補助事業者には次の金額が補助されることから、受講者はそれ以上の負担が軽減された価格で講座を受講することができる。
●リスキリング講座の受講を修了した場合
講座の受講費用(税別)の1/2相当額(上限40万円)
●リスキリング講座の受講を経て実際に転職(※)し、その後1年間継続的に転職先に就業していることを確認できる場合:
追加的に講座の受講費用(税別)の1/5相当額(上限16万円)
(※)本事業における「転職」とは、①補助事業で実施された職業紹介による転職、又は②転職支援を実施する職業紹介事業者が自社で雇用する転職により、新たな雇用契約を締結したことを指します。
引用:経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」
この事業は、キャリアアップの上で転職したいビジネスパーソンにとっては大いなるチャンスといえる。
本事業に採択された事業者2社に、ビジネスパーソンにとってのお得なポイントを聞いた。
介護職希望者必見!「キャリアスマイルケアカレッジ」
高齢社会型人材サービスを提供する株式会社キャリアの「キャリアスマイルケアカレッジ」は、2023年12月から申し込みを開始した現職介護士・介護職希望者のキャリア相談・リスキリング講座受講・転職までを支援する事業だ。
リスキリング講座の受講費用を最大全額補助するほか、当社がこれまで培ってきた豊富な実績を生かし、介護業界に特化したキャリアコンサルタントが資格取得から転職支援まで手厚くサポートすることで、1,000名の介護職への転職を目指す。
参画した背景は、介護業界の深刻化する人材不足にある。高齢化が進む中、介護人材の需要は2023年度には約233万人(+約22万人)、2025年度には約243万人(+約32万人)、2040年度には約280万人(+約69万人)と予想(※)される一方で、介護人材の不足は深刻化しているという。
同事業を通じて、非正規雇用から正規雇用への転換をサポートする「雇用の安定」、未経験者が働きながら学べる本事業サービスによる「労働移動の円滑化」、経験者のキャリアアップによる「賃上げの実現」の3つの柱を掲げ、介護業界の課題解決に貢献する。
※出典:厚生労働省『第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(令和3年7月9日)』 ()内は2019年度(211万人)比。
●リスキリング講座は最大全額補助
先述の通り、リスキリング講座の受講を修了した場合は受講費用の1/2相当額、講座受講を経て転職し、1年間継続的に転職先に就業していることが確認できる場合に追加で受講費用の1/5相当額が補助される。そしてこの経産省からの助成金に加えて、同社独自の補助金も活用することで、最大全額を補助する予定という。利用者にとってはさらにメリットだ。
●その他のお得なポイント
利用者にとってお得なポイントは、費用面の他にどんなことがあるのか。同社の事業部長 津村孝輝氏は次のように述べる。
「ご自宅の近くで就業しながら資格取得や転職活動が可能です。全国で事業所を展開しているという強みを活かし、全国エリアでサービスを受けていただける体制を整えております。また、介護・福祉分野の人財業界に特化したコンサルタントによるキャリア相談を無料で受けることができます。介護業界ならではの転職活動のノウハウや介護業界未経験の方に安心して就業いただくため、入社後の介護業界でのキャリアについてもお気軽にご相談いただけます。
就業先は、既存の人材派遣・紹介サービスで培ってきた求人データをもとに、豊富な案件からマッチする求人をご提案します」
●こんな人におすすめ
同事業はどんなビジネスパーソンにおすすめだろうか。
「キャリアスマイルケアカレッジは、働きながら仕事と両立して介護の資格を取得し、介護業界へ転職をしたい方に向けたサービスです。介護未経験の方、特に介護の資格を取得し今後のキャリアを介護業界で築いて行きたい20〜30代の方や、セカンドキャリアとして今後、介護の仕事に従事して活躍したい方などがおすすめです」
介護業界は人手不足ではあっても、転職にはハードルがあるといわれる。資格が取得しやすくなる同事業に期待したい。