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深刻化する工場の人手不足を救うARグラス、ロボット、MRの活用法と導入メリット

2024.03.04

MR技術を活用した遠隔作業支援ソリューション

XR事業を進めるNTT QONOQ(コノキュー)は、2023年3月よりMR技術を活用した遠隔作業支援ソリューション「NTT XR Real Support」の提供を始めた。

主に電気・ガス・通信などのインフラ業や、高額な装置・精密機械などを扱う製造向けで、遠くにいてもまるで隣にいるかのように遠隔地から現場機材へのポイント指示が可能になることから、技術継承、人手不足、安全確保に貢献するという。

「NTT XR Real Support」利用イメージ

同社のスキルサポートDXプロジェクト/テクノロジー部門プロダクトリーダーの浅井勇大氏によれば、同ソリューションに使われている技術のうち、特徴的なのは「MR」と「WebRTC」の2つだという。

1.MR(MixedReality/複合現実)

3Dフロー機能イメージ

MRを用いれば、現実世界の壁や床を認識し、その壁や床に対してデジタルコンテンツを配置・表示することが可能だ。

「Webブラウザから画面をクリックするだけで、現地の工場の装置やボタンなどを立体的にポインタで指し示すことができる空間ポインティング機能のほか、3Dフロー機能では、現場の工場内のどこにでもマニュアルを配置することができます。さらに『OKジェスチャ』一つで移動と固定を切り替えることもできるので、どんな場所でもハンズフリーで作業ができます」

2.WebRTC(Web Real-Time Communication)

WebRTCとはWebブラウザから発信される映像や音声などのデータを高度な処理能力で通信する技術のこと。通信環境の悪い工場でも、リアルタイムに映像・音声のやり取り、および複数人での通話が可能になる。

「通信環境が悪い場所では映像のフレームレートや画質が落ちてしまいますが、画像証跡保存機能によって、どんな場所でも高画質に写真を撮影して遠隔地に送ることができます」

●人手不足の課題を解決

従来、インフラ業や製造業の現場においては、新人や不慣れな業務、新型装置を扱う場合は複数名で対応したり、熟練者によるサポートが必須で、どうしても人手が必要だった。そうした中、本ソリューションがあれば解決に向かうと浅井氏は話す。

「社員が1名、現地に行けば、熟練者が遠隔からサポートできるため、作業時間の効率化を実現できます。遠隔地の熟練者が並行して複数の工場のスタッフをサポートすることも可能です。

また工場内の装置が故障したり、操作方法がわからない場合、従来ではメーカーや営業担当の方に現地に来ていただく必要がありましたが、本ソリューションを使えば即座にサポートを受け取ることが可能になります」

すでに導入が進んでおり、ある製造業ではお客様サポートの効率化を図るツールとして導入。これまでの電話対応に比較し、対応時間が1時間から10分に削減されるなど効果を発揮しているそうだ。

「客先へ出向く修理サポートの人員を減らして別の業務に充てられる」「電話で行き違う修理箇所を事前に可視化して認識できる」などのメリットが得られているという。

「従来の『客先が増える』=『サポート要員を増やす』との常識を、DX化で覆すことができるとのご意見をいただいております」(浅井氏)

今後の展望として、浅井氏は「インフラ・製造業をメインに、工場などの現場の効率化やさらなる業務の実現に貢献していきたい。今後はXR技術だけでなく、AI技術も活用し、遠隔支援だけでなく現地で単独作業を可能にするなど、さらなる価値提供を目指します」と述べた。

工場の人手不足は、今後も深刻化していくと思われる。そうした中、あらゆる技術をうまく掛け合わせ、人とも協働できるアイデアは数知れないことがわかった。それぞれの工場や現場に合ったソリューションの形が求められている。

【取材協力】
綜合キャリアオプション
NTTコノキュー「NTT XR Real Support」

文/石原亜香利

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