産業界では深刻な人手不足が問題となっている中、ロボットやAI、VR、ARなどの技術、BPOなどさまざまな手段が駆使され、解決へと進められている。
今回は、特に工場の人手不足をあらゆる方向から救う技術と手段を取り上げる。
ARグラス・ロボット×BPOで少ない負担でオートメーション化
BPO事業や派遣事業、人材紹介事業などを行う綜合キャリアオプションが2023年12月より、ARグラス・ロボット・労務管理システムを有機的に組み合わせる「BPO‐DX総合サービス」の提供を始めた。
BPOや派遣事業の経験と実績を活かし、工場などにテクノロジーを用いて新たな試みを推進する。本ソリューションにおいて、ロボットとARグラスはそれぞれ工場や倉庫内でどのように機能するのか。
●人材とロボットが分担し合う「SC CAPION」
工場・倉庫内では多くの部品や荷物が頻繁に搬送されるが、オートメーション化されている現場はまだ少なく、費用対効果が見込めない工場や倉庫も多くあるという。一方で人手不足で人材投入の数は限られるため悩ましいところだ。
そこで同社のロボットが役に立つ。同社の副社長 神保光路郎氏は次のように解説する
「繰り返し発生する簡易的な搬送業務はロボットにまかせ、繊細な組立を要することやピッキング業務は人の手で行う。そうした人材とロボットがそれぞれ得意な作業を分担し合うサービスがSC CAPIONです」
●作業とコミュニケーションを効率化するARグラス「ShareSight」
ARグラスのほうはどうか。ARグラスとは、「簡単に言えば次の3つの機能を持ったメガネ」と神保氏は言う。
・かけた人の視界を共有できる
・かけた人の視界に文字、画像、映像を映し出せる
・音声通話ができる
同社のARグラス「ShareSight」は、工場・倉庫内で次の3点に活用できるという。
1.作業者に対する遠隔からの指示出し
「ARグラスをかけた作業者の視界を、管理者のPCやタブレット、スマホに共有することでスムーズな指示出しが可能です」
2.倉庫内の仕分けの効率化
「作業者の視界をシステムやAIと共有し、ミス軽減・作業を効率化します。作業者の視界に入ったバーコードやQRをAIが識別し、対象のケージの番号などをShareSightに表示させることで、集中力が落ちたときや経験の浅い作業者でもミスなく作業できるようになります」
3.外国人労働者とのコミュニケーションの円滑化
「作業経験がなかったり、日本語がおぼつかない外国人労働者でもShareSightの『音声通話機能』と『自動翻訳機能』を組み合わせることで、日本人の管理者でも口頭指示できます」
●BPOサービスで負担少なく導入
ARグラス・ロボットは便利だが、「どの業務にこのソリューションを導入するのか」「既存の業務フローをどう変更するのか」といった導入計画が必要になる。また従業員への研修・運用も考えると負担は大きい。
そこで同サービスでは「ソリューション」と「それを実際に運用する人材」を一緒にBPOサービスとして提供。導入面、運用面を丸ごと委託でき、少ない負担で現場のDX化を実現できる。
今後の展望について、神保氏は「ARグラスやロボットだけでなく、業務の効率化に対してポジティブなプロダクト・システムをソリューションの一部としてサービス提案していく予定です。まだまだDX化が進んでいない製造・物流業界に対し、企業ごとに最適解をソリューションとして提供していきます」と結んだ。