今、ブロッコリー界隈が熱い。
個人的な思い入れが強くて恐縮だが、最近ブロッコリーが美味しくて仕方ない。何よりビタミンCが豊富らしいし、セブンイレブンの「たことブロッコリーのバジルサラダ」が大好きだったりする。
しかも近年、多くの野菜の出荷量が減少する中、ブロッコリーはこの10年で出荷量が3割近く増えており、農林水産省はブロッコリーが国民生活にとって重要性が増したとして、2026年度から新たに「指定野菜」に加えると発表した。
「指定野菜」とは特に消費量が多く、国民生活上の重要性が高い野菜を国がリストアップしたもので、現在はニンジン、トマト、ナスなど14品目。ここにブロッコリーが仲間入りすることになる。
新たな「指定野菜」の追加はおよそ50年ぶり。指定野菜に追加されることで生産者へのサポートが手厚くなり安定供給につながることが期待されているというが……。
ホントのところはどうなのか?
今回、年間約200万株のブロッコリーを出荷しているブロッコリーを中心とする農業法人、石川県の安井ファーム話を聞いた。
「日本一バズる農家」と話題になった安井ファームはSNSで日々ブロッコリーのレシピや魅力を発信。フォロワー7万超の人気アカウントでもある。
公式Xの「中の人」が語ってくれたブロッコリーへの想い、そしてSNSでバズる秘訣とは?
ブロッコリー中心のSNSは未来への投資
農業法人としてスタートした安井ファームは2003年頃から水稲、大豆にブロッコリーを加えた複合経営を開始。今やブロッコリーが主力と言うが、そもそもなぜブロッコリーだったのだろうか?
「元々は米農家だったんですが、2000年に減反政策の補助金がなくなるかもしれないという噂を耳にした代表が現状のスタイルを転換し、収支を得られるものを求めて野菜に行き着いたと聞いております」
「米どころの石川県では畑地の確保が難しい中、地域の方に勧められたのがブロッコリーでした。2003年より作付けを開始し規模拡大を続けて現在は90ヘクタール。石川県産ブロッコリーの3個に1個を生産している計算になります」
そんな“ブロッコリー農家”のSNSも熱い。2019年に公式アカウントを立ち上げ、ブロッコリーを中心に様々な情報を発信してきた。
「ブロッコリーをメインに取り上げた理由は2つあります。一つは企業間取引主体ゆえの知名度の低さが、今後企業として成長するにあたり障害になるのでは?という懸念。また、ブロッコリーの生産拡大のためには消費者へのアプローチも必要不可欠だと思ったからです。ブロッコリーの消費拡大と会社の知名度向上のためSNSに心血を注いでおります」
企業としての未来はもちろん、ブロッコリーの未来をも見据えた挑戦。しかしそれは瞬く間に大きな反響を呼ぶ。
ブロッコリーの調理法や豆知識を始め、GIFアニメなどを使ってブロッコリーの魅力を伝え続けた結果、投稿は幾度となくバズった。
2022年には「日本一バズる農家の健康ブロッコリーレシピ」を発売したほど。日本中がブロッコリーの虜になっている。
ここで、SNSで反響の大きかった投稿を紹介しよう。
「これは、私自身一番好きな逸品で父親の還暦祝いに食べた鶏の唐揚げをヒントに人生で初めて揚げ物に挑戦したレシピです。ブロッコリーが苦手でも食べられたという報告が多数寄せられているので、ニガテ克服の最初の一歩にもオススメ!」
「これは、天候の関係でブロッコリーが供給過多となり、価格が暴落した2022年3月に消費を呼びかけようと投稿したものです。もちろん農家としては苦しい局面ではあるのですが、こうした際に『助けてください』と発信するのは生産者としての責任を放棄しているようで違和感があったため、消費者の方に向けて『今がお買い得、ブロッコリーチャンスタイムですよ』と発信させていただきました」
さらにこんな投稿も!
「業務的なツイートばかりではなく、たまには運用担当者(いわゆる中の人)も人間ですよというアピールをしておこうと考え、個人的なバレンタイン(プロポーズ)の思い出をあくまで余談として投稿したつもりでした。その結果、ありがたくもブロッコリーを凌駕するほどの反響に(笑)。さらには、海外のメディアにも取り上げていただき、海を越えて私のプロポーズが大公開された思い出の投稿です」