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知らないと損!有給休暇の繰り越しルールと最大日数と上限、時効

2024.03.08

入社した日から6か月継続し、全労働日の8割以上出勤した場合に、フルタイムの労働者などの一般労働者であれば10日の有給休暇が付与される。ただ、厚生労働省の令和5年就労条件総合調査の概況によると、有給休暇の消化率は62.1%にとどまる。すなわち、ほとんどの人が有給休暇を取りきれていないのだ。

この取りきれなかった有給休暇は繰り越しが可能だが、繰り越しには時効があり、最大保有日数には上限があることをご存じだろうか。

有給休暇について正しく理解することは、あなたが自分に合った良い働き方を実現するうえで大切なポイントになる。そこで本記事では、有給休暇の繰り越しルールについて解説していく。

有給休暇の繰り越しとは

有給休暇の繰り越しとは、新しく付与された有給休暇をその年に取得できなかった場合に「1年のみ繰り越しが可能」な制度である。

従業員は、有給休暇の繰り越しについての基本知識を知っておかなければ、本来取得できる有給休暇を取得できないなどの損をする恐れがあるだろう。

また、有給休暇の繰り越しには法律に基づくルールがあるため、いたずらに主張しても職場では通りにくいのも現実だ。

ここでは、従業員が知るべき有給休暇と繰り越しの基礎知識と、有給休暇の繰り越しのルールに関わる法律について解説する。

■有給休暇と繰り越しの基礎知識

有給休暇の正式名称は「年次有給休暇」といい、賃金が減額されることなく取得できる労働基準法に定められた休暇を指す。

有給休暇は入社日から6か月継続して勤続し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与され、その後基本的に継続勤務年数1年ごとにさらに付与される。

そのため、基本的に中途採用の従業員などそれぞれの入社日が異なる会社の場合、有給休暇の付与される日程も違うことを覚えておこう。

ただし、有給休暇の付与日が従業員ごとに異なると有給休暇の付与日数や残日数の管理が複雑になるため、実際のところ有給休暇の付与日を全従業員同じ日にする会社が多い。例えば、6月1日にフルタイムで入社した従業員は、その年の12月1日までには10日の有給休暇が付与される。

さらに、この従業員の次の有給休暇の付与日は基本的には次の年の12月1日だが、毎年全従業員が4月1日に有給休暇を付与する会社であれば、1年経っていなくても合わせて次の4月1日に付与されるというわけだ。

有給休暇の付与日数は、勤続期間や、フルタイムで働く一般労働者かパートやアルバイトなどの短時間労働者かによって異なるが、いずれにせよ勤続期間が長くなるほど付与日数は増える。

そして、新たに付与された有給休暇を1年以内に消化できなかった場合は、次の年に限り持ち越すことができる。このことを「有給休暇の繰り越し」と言うのだ。

■有給休暇の繰り越しのルールに関わる法律

有給休暇については、労働基準法第37条に定められている。

労働基準法第37条には第1項から第10項まであり、その中で有給休暇の付与条件、付与日数などが定められている。

・会社は年最低5日の有給休暇を取得させる義務がある

2019年4月の働き方改革による労働基準法改正により、有給休暇を付与した基準日から1年以内に5日分の有給休暇について、使用者が取得時季を指定して与えることが義務化された。

この改正は管理監督者を含むすべての労働者が対象で、すでに有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては不要となる。

すなわち、有給休暇を年5日以上取得していない従業員に対して、会社は最低5日までは時季を指定してまで有給休暇を取得させる義務がある。

・有給休暇は発生時期から2年間で時効により消滅

また、繰り越し分の有給休暇日数は、次の年に限り持ち越すことができると法律に定められている。これは、労働基準法第115条により、有給休暇の発生時期から2年間で時効により消滅すると定められているためである。すなわち、「有給休暇が付与された年と次の年までは時効により消滅しない」ということである。

・有給休暇の買い取りは基本的にできない

また、しばしば勘違いされがちなのだが、有給休暇の繰り越し分は「基本的に会社が金銭で買い取ることはできない」と法律に定められている。

有給休暇の本来の目的は労働者の心身の疲労を回復させることや、ゆとりある生活の実現が目的であり、買取りは主旨とは異なることが大きな理由だ。

ただし、退職時に残っている有給休暇や、消滅時効になった有給休暇は、会社の買い取りが認められるケースもある。

※出典:「令和5年就労条件総合調査の概況| 厚生労働省」

有給休暇が繰り越しできる最大日数と上限、時効とは

ここでは、有給休暇は最大どのくらい保有できるのか、上限や時効についてさらに詳しく解説する。

■有給休暇の最大保有日数

労働基準法で定められた有給休暇を付与しなければならない日数は、週の所定労働日数や週の所定労働時間によって異なる。

・フルタイムで働く一般労働者の場合

週の所定労働日数が5日以上や、週の所定労働時間が30時間以上などフルタイムで働く一般労働者は、以下の表を適用する。

 

一般労働者の有給休暇の最大付与日数は、原則、6.5年以上継続勤務した場合の20日になる。

有給休暇は次年度の1年に限って繰り越しできるため、一般労働者の最大保有日数は20日+20日で「40日」になることを覚えておこう。

・パートやアルバイトなどの短時間労働者の場合

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の短時間労働者は、以下の表を適用する。

一方、短時間労働者の有給休暇の最大付与日数は6.5年以上継続勤務した場合の15日だ。

短時間労働者も一般労働者と同様に有給休暇は次年度の1年に限って繰り越しできるため、短時間労働者の最大保有日数は15日+15日で「30日」と一般労働者よりも少なくなる。

■有給休暇の繰り越し上限と時効

繰り返しの説明にはなるが、有給休暇は次年度の1年に限って繰り越しでき、時効は2年である。従って、保有日数の上限は一般労働者の場合は40日、短時間労働者が30日となるのである。

そのため、有給休暇の付与日から2年経過後には、消化しきれていない有給休暇は時効により消滅するので注意が必要だろう。

■有給休暇の繰り越しを計算してみよう

例えば、10年以上同じ会社に継続して勤務しているフルタイムの従業員が、2022年4月1日に付与された20日の有給休暇のうち5日しかその年は有給休暇を取得しなかったとする。

2022年の有給休暇の残日数15日が2023年度に繰り越され、2023年4月1日に新たに付与された20日の有給休暇と合わせて保有日数は35日になる。2023年度も5日しか有給休暇を取得しなかった場合、2022年度から繰り越しされた15日の有給休暇の内5日取得したことになり、残りの10日は2年の時効により消滅する。

その結果、2024年4月1日時点の有給休暇の保有日数は、2023年度の繰り越し分の20日と2024年4月1日に新たに付与された20日を合わせた40日になる。

※出典:「年次有給休暇の時季指定義務| 厚生労働省」
※出典:「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています| 厚生労働省」

自分の有給休暇を管理するコツ

有給休暇がいつ何日付与されて、何日取得して、何日繰り越ししたかを管理しなければ、時効により無駄に有給休暇を消滅させてしまうリスクが高くなってしまうだろう。ここでは、自分の有給休暇を管理するコツを解説する。

■ポイント1:給与明細で管理する

給与が支給されると、ほとんどの会社で紙の給与明細が配布されるか、電子データで交付される。

給与明細の中には、基本的に「有給休暇の取得日数」や「残日数」が記載されているので、給与明細で都度管理することができるだろう。

しかし、給与明細の有給休暇の残日数には繰り越し分の日数までは記載されていないケースが多いので、管理が難しい場合もある。その際は以下の方法を試してみてほしい。

■ポイント2:有給休暇管理表を作成する

有給休暇管理表はその名の通り、有給休暇の取得・消化を管理するためのツールだ。会社として導入しているケースも多いが、個人でも作成・利用が可能である。

Excelで作成するのなら、関数を使えば効率的で正確に計算できる。もちろん、関数を使うスキルがなくても、無料で使える有給管理表のテンプレートなどがインターネット検索で見つかるはずだ。自分にとって使いやすいテンプレートを調べてみよう。

■ポイント3:手書きメモを残しておく

古典的な方法だが、有給休暇を取得した日にちや、付与された日数、繰り越しした日数、消滅した日数などを手書きでメモ書きしておく方法もある。

デスクにメモ用紙を忍ばせておき、給与明細をもらった時や有給休暇を申請したタイミングでそれぞれの記入を習慣化すれば、有給休暇の情報を漏れなく把握しやすくなる。

背伸びをして慣れない方法を取るよりも、自信が最も扱いやすく、頻繁に目にする方法を採用しよう。

有給休暇は自身でしっかりと管理しよう

有給休暇の基礎知識について解説した。

有給休暇は従業員が自主的に活用できる制度だからこそ、繰り越しなどもしっかりと理解して必要な時にスムーズに申請できる環境を作っておくことが重要だ。

自身の有給休暇がどのくらいあり、繰り越しはどのくらいできるかを把握していない人は、ぜひすぐに確認してみてほしい。

文/小島 章広
信用金庫に8年、システム開発の会社に現在まで20年以上勤務。社会保険労務士・行政書士の資格を保有し、人事労務関係、社会保険関係の記事を中心に6年以上執筆活動を続けている。

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