アシロは、同社が運営する労働問題の相談・対応を得意とする弁護士・法律事務所を検索できるポータルサイト、「ベンナビ労働問題」にてパワーハラスメント(以下パワハラ)に関するアンケート調査を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
約6割の会社でパワハラが起きており加害者は上長が多い
「自身が受けたことがあり、他の人がされているのを見たことがある」、「自身が受けたことがあり、他の人がされているのを見たことはない」と回答した人は43.0%となり、4割以上がパワハラの被害に遭っていることがわかった。
また、「自身が受けたことはなく、他の人がされているのを見たことがある」との回答が16.8%であることから、59.8%の人は、パワハラが起きている会社で働いた経験があることになる。
また、パワハラ加害者の中で最も多いのは「同性の上司」であり、「同性の先輩」も含めると、多くの場合は同性の上長がパワハラをしていることが判明。
さらに、「異性の上司」と回答した人も多いことから、性別を問わず役職上の優位にある人がパワハラをしてしまうケースが多いようだ。
一方で、性別を問わず「部下・後輩」からパワハラを受けたケースもあり、少数ながら、パワハラが必ずしも役職上の優位性を前提としたものではないことがわかる。
■パワハラのほとんどは精神的な攻撃
「パワハラを経験した」、「パワハラを見た」のいずれか、もしくは両方が該当する対象者1794人を対象に、パワハラの内容を聞いたところ「暴言・侮辱・大声で怒鳴る」と回答した方が最多となった。
他にも「悪質な悪口・陰口」、「無視・仲間外れ」などの回答が多く、「暴行・傷害」が221人に留まったことから、パワハラの多くが精神的な攻撃であることがわかる。
また、「業務上明らかに不要なこと、遂行不可能なことの強要」、「必要以上な仕事への監視・関与」も多く、当事者が上下関係にあるケースが多いようだ。
■多くが対処はせず、対処しても解決に至るケースは一部に留まる
「パワハラを受けたときどう対処しましたか?」という質問に対して、576人は「何もしなかった」と回答しており、多くがパワハラに対して泣き寝入りをしている状況が浮かび上がった。
また、対応した人の中で最も多い回答は「社内の先輩や同僚に相談した」であり、「パワハラ加害者に自らに抗議した」、「社内の担当部署に相談した」、「公的な機関に相談した」、「弁護士に相談した」などの具体的な解決に向けた行動をとった人よりも少ない。
一方で対処した人に「パワハラ問題はどうなりましたか?」と質問したところ、「解決した」と回答した方は19.4%に留まり、「被害者側が退職した」、「加害者側が退職した」、「被害者側が異動になった」、「加害者側が異動になった」といった人事的措置が全体の43.6%を占めた。
また「変わらなかった(今も我慢している)」との回答が最多の32.8%、「パワハラがひどくなった」を含めると36.6%となり、いかにパワハラ問題の解決が難しいかがわかる。
「会社や加害者に対して賠償請求した」と回答した方は0.4%とわずかではあるが、こうした法的措置を講じることも検討すべきかもしれない。
調査概要
調査対象/18歳〜69歳の3000人
調査方法/Freeasyを用いたインターネットリサーチ
調査日/2024年2月8日(木)
出典/ベンナビ労働問題
関連情報
https://roudou-pro.com/columns/559/
構成/清水眞希