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IT関連の用語は、知っている人と知らない人で語彙力に差が生じる。普段目にしている言葉でも「正式な意味は知らない」という人は意外に多いはず。とはいえ、IT関連の用語を正しく把握しておくと情報収集や意見交換が円滑になる。
本記事では、「キッティング」の正しい意味や作業例、キッティング手法によって異なるメリット・デメリット、社内でキッティングする場合の注意点を解説する。
「キッティング」とは
まず、「キッティング」の正しい意味から見ていこう。具体的な例を交えながら説明できるよう、キッティングの作業例もぜひ参考にしてほしい。
■デバイス導入時に設定するセットアップ作業のこと
キッティングとは、PCやスマートフォンなどのデバイスに対して、さまざまな設定やソフトウェアのインストールを行なう作業を意味する。キッティングは英語「kit」の動名詞形で「装備一式を用意する」ことを指し、デバイスを使うユーザーが業務にすぐに着手できる状態までセッティングすることを表している。
■キッティングの作業例
キッティングの作業には、PCの入れ替えやデータ移行などの設定作業までが含まれる。大企業で新入社員を受け入れる際には、数百台規模で実施するため手間と時間が必要となり、作業者に負担がかかってしまうのが難点だ。また、キッティングの具体的な作業例としては、以下の7つが挙げられる。
・情報機器の開梱
・デバイスと周辺機器との接続
・デバイスのセットアップや初期設定
・ネットワークの接続
・デバイスの各種ドライバやツールの設定
・ネットワークセキュリティの設定
・デバイスの動作確認
キッティング手法で異なるメリット・デメリット
次に、キッティング手法で異なるメリット・デメリットを紹介する。取引先との雑談でも使えるよう、ぜひ理解しておこう。
1. 手作業の場合
手作業で1台ずつ行なうキッティングは、デバイスの数が作業時間や手間に影響することが特徴だ。事前準備が不要なためすぐに作業が始められるが、作業する個人のスキルや知識によって作業内容や所要時間に差があり、個人の能力に起因したミスが生じやすいこと、1台あたりの人件費が高くなることがデメリットだ。
2. クローニングの場合
あらかじめ準備した、コピー元となるデバイスの設定を複数のデバイスにコピーするクローニングは、デバイスの数が多くても対応できるのが特徴だ。また、一度に大量の設定をコピーするため、効率的で均一な品質の作業が可能だ。
ハードウェアが故障した際にも、コピー元となるデバイスの設定を適用すれば代替品をすぐに準備できる。しかし、コピー元となるデバイスの設定検証には専門知識や経験、時間が必要なのがデメリットだ。
社内でキッティングする場合の注意点
最後に、社内でキッティングする場合の注意点を紹介する。実際にキッティングする機会がある場合は、ぜひ役立ててほしい。
1. 事前準備を行なう
自社内でキッティングを行なう際、作業手順の確認や準備が必要だ。キッティングは多くの作業項目があるため、事前に洗い出しておかなければ、ネットワークがにつながらなかったり設定にミスがあったりと、業務に大きな影響を与える可能性がある。
また、クローニングする際のコピー元となるデバイスの設定が誤っている場合、コピーしたデバイスのキッティングをやり直すことになるため注意が必要だ。あらかじめ作業手順書や作業チェックシートなどを作成し、スムーズにキッティングできる環境を整えておこう。
2. 余裕があるスケジュールを組む
キッティングは複数のデバイスを対象に行なわれることが多く作業に時間がかかるため、余裕があるスケジュールを組むことが必要だ。例えば、キッティング作業中に問題が生じた場合、作業が遅延する可能性がある。トラブルがあっても予備日で対応できるよう、適切なスケジュール管理を行なおう。
3. セキュリティ対策を行なう
キッティングを行なう際にセキュリティ対策を行なっていなければ、作業者のWebサイトの閲覧やアプリケーションのダウンロードによってウイルスに感染することがある。ウイルスに感染すると、機密・個人情報が漏洩して企業としての信用を損なう。そのため、使用できるアプリや盗難紛失した場合のロック機能を設定しておくなど、対策をとる必要がある。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部