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業務を円滑に進めるためにさまざまな業界で重視されている「申し送り」。看護や介護業界で使用されるイメージの強い言葉だが、ビジネスシーンでも使用されるため、正しい言葉の意味や使い方をしっかり押さえておきたい。
本記事では、「申し送り」の意味や目的、使い方などについて解説する。申し送りと似た「引き継ぎ」との違いも解説するため、ぜひこの機会に正しく使い分けられるようにしておこう。
申し送りの意味や目的
まずは、申し送りの意味や、その目的を解説する。
■業務に関する必要事項を伝えること
申し送りとは、前任者から後任者へ仕事を引き継ぐこと。円滑な引き継ぎのためにまとめた必要事項は「申し送り事項」と表現される。
ちなみに、取引先など社外の人へ必要事項を伝える場合は、申し送りの表現は使わない。社外の相手に必要事項を伝える際は、「〜についてお伝えします」「〜についてご報告します」などの言い換え表現を使用すると良い。また、上司に対して「申し送り」を使用することは、職場によっては不適切とされることもあるため注意しよう。
■申し送りの目的
申し送りの目的は、情報を共有し、業務を滞りなく進めること。後任者に必要事項を漏れなく伝えるため、ポイントとなることは業務中にメモをしておく必要がある。
また、申し送りは、業務内容や進捗を明確化する役割も果たす。申し送りを通して業務の進捗を後任者へ伝えることで、後任者が業務に取り組みやすくなる。また、業務の進捗や業務内容が可視化されると、スタッフのうちの一人が対応できない場合でも、他のメンバーでカバーできる。
申し送りの目的を達成するために、「事実」と「所感」を区別して伝えることが大切だ。会社によっては、申し送り事項の書き方や伝え方を統一するため、申し送り書が用意されているケースもある。申し送りを書面で行なう場合は、エクセルなどで申し送り書のテンプレートを用意すると記録がしやすい。
■申し送りの類語
申し送りの類語表現としては、「伝達」「報告」などが挙げられる。また、「伝える」や「言い送る」なども申し送りと類語関係にある。
■申し送りの英語表現
申し送りの英語表現としては、「伝える」を意味する“pass (send)word”“explain”“message”などが使える。また、医療現場では「申し送り」を意味する単語として“handoff”が使われる。
申し送りの使い方と例文
申し送りは、「申し送りする」などと動詞で使用されることもあるが、名詞として使用されることが多くある。
【例文】
「8時から申し送りを始めます」
「〜さんのリハビリの状況について申し送りをお願いします」
「A社について申し送りする際は、課長も呼んでください」
「申し送り」と「引き継ぎ」の違い
「申し送り」と混同しやすい言葉に「引き継ぎ」がある。引き継ぎは、後任者が業務を引き受けること自体を指す言葉。一方で、申し送りには「必要事項を伝える」の意味が含まれている。
一般的には、日常業務の中で、次の担当者へと必要事項を伝える際には「申し送り」を、退職や異動などで後任者へと進捗や必要事項を伝える場合には「引き継ぎ」を使用する。例えば、営業職では、担当者の異動が発生する際に担当していた取引先の進捗や決済者情報などを前任者から後任者へと共有する「引き継ぎ」が重視されている。営業職の引き継ぎの際は、コミュニケーションのコツなども引き継ぐと、商談を円滑に進めやすくなるだろう。
申し送りが重視される業界・職種
申し送りは、特にシフト制の仕事において重視される。最後に、申し送りが活発に行われる業界について、それぞれの特徴を見ていこう。
■看護・介護業界
人の命に関わる看護や介護業界では、綿密な情報共有が求められる。日勤や夜勤のシフト交代時のほか、患者を他病棟へ移送する際も申し送りが必要だ。看護や介護現場での申し送りにおいては、カルテに書かれた情報以外にも患者の様子や医師からの指示などを細かく記録して伝えるのが一般的とされる。
一方で、病院によっては業務の効率化の観点から、口頭での申し送り廃止や申し送り方法の見直しなどが行われている場合もある。
■警備業
警備業では、現場の安全を守るために後任者への申し送りが欠かせない。警備業での申し送りでは、当日の現場の状況や発生した問題への対応などについての情報が共有される。申し送りを受けた後任の担当者は、共有のあった対応事項の経過を注意深く観察する必要がある。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部