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失業手当はいつからいつまでもらえる?自己都合、新卒、産後、ケース別にシミュレーション解説

2024.03.08

転職や出産などで退職を考えた時、大きな味方になるのが、雇用保険の失業手当。ところが、失業手当の名前は知っていても、具体的な手続きについては、知らないという方も、いるのではないだろうか。

タイミングを逃し、本来もらえる額が減ってしまうということがないように、この記事では、失業手当がいつからいつまでもらえるのか、自己都合退職、新卒での退職、産後など、シーン別に申請時期の注意点を解説する。

失業手当とは

失業手当とは、再就職をサポートするために、雇用保険から支給される給付のことだ。受給するには、雇用保険の「被保険者期間が1年以上」であることが求められる。ただし、退職理由が会社の倒産や解雇など一定の条件を満たす場合は、この期間が半年に短縮されることも覚えておこう。

また、失業手当の給付日数は、雇用保険の被保険者であった期間や離職の理由によって異なる。特に多くの人に関連深いであろう「65歳未満で自己都合退職」の場合を以下で確認しておこう。

被保険者であった期間 10年未満 10年以上20年未満 20年以上
給付日数 90日 120日 150日

次に気になるのが「給付金額」だ。具体的にひと月にもらえる金額は、どれくらいなのだろうか。

正確な金額はハローワークで確認する必要があるが、目安としては60歳未満の方で給与が月額20万円程度の場合、支給額は月13.5万円ほど。月額30万円程度では、月16.5万円くらいになる。

※出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」

失業手当はいつからいつまでもらえるの?

失業手当を実際に支給されるまでには、以下の手続きを行う必要がある。

  1. 会社から離職票が届いたら、個人番号確認書類・身元確認書類・写真2枚・本人名義の預金通帳またはキャッシュカードなどの必要書類を持って住所を管轄するハローワークに行く。
  2. 雇用保険説明会に参加
  3. 待機期間(通算7日間)
  4. 給付制限期間(自己都合退職の場合、原則2か月間)
  5. 失業の認定を受ける
  6. 失業手当の支払い

その後は原則として4週間に1回、あらかじめ指定された「失業認定日」にハローワークを訪問し、失業の認定を受けることで失業手当が支給される。

失業手当の支給期間は、退職日の翌日から1年間だ。この期間を過ぎると、給付日数が残っていても、受給できなくなるので退職後はできるだけ早く手続きに行くことをおすすめする。

また、注意しなければならないのが、失業手当をもらうためには上記の手続きに加え、積極的に求職活動を行っていることが求められる。このため、期間中は求人の応募やハローワークの職業相談を受けるなどの「求職活動実績」が必要だ。

さらに、病気や出産、育児などが理由の場合、仕事ができる健康状態や環境などが整っていないということで失業手当の給付を受けるのが難しくなる。ただし、そのような場合は「受給期間の延長手続き」を行うことで、1年間の支給期間を最大4年まで延長できる。こちらについては後ほど解説しよう。

失業手当はいつからもらえる?3つのケースを解説

ここからは、できるだけ早くスムーズに失業手当をもらうための申請タイミングについて、自己都合、産後、新卒のケース別に、具体的にシミュレーションしていこう。

■自己都合退職時の失業手当

自己都合退職時の条件(例)

・2024.3/31退職 
・約2週間後の4/12に会社から離職票が送付され、4/15に住所を管轄するハローワークに行き、受給資格の決定がなされた。

自己都合退職の場合、退職日の3/31から失業手当の最初の振込(7/15)まで約三か月半もかかってしまうことが分かる。

このように、失業手当はすぐにもらえるわけではないのでこの間の生活費の確保等、退職後の資金計画は、在職中から立てておいたほうが良いだろう。

■産後の失業手当

前述したように、出産や育児で仕事ができない期間は、失業手当を受給できない。

しかし、退職日の翌日から1年以内に30日以上継続して就労不可能だった場合は、最大4年間の延長が可能だ。そのケースのシミュレーションをしてみよう。

受給期間延長の条件(例)

・2024.3.31退職
・出産を経て、産後、6か月(180日)就労が不可能だった。

手続きは、30日経過日以降、できるだけ早く行なわなければならない。あまりに遅すぎると、所定給付日数の全てを受給できない可能性がある。また、申請には、医師の証明書などが必要だ。郵送又は代理人(委任状が必要)申請もできるので、延長をお考えの方は一度、住所を管轄するハローワークに、問い合わせてみよう。

■新卒時の失業手当

新卒での退職は、一般的な自己都合による退職と比べると少し注意が必要だ。入社して数か月で自己都合退職した場合、1年以上の被保険者期間がないため失業手当の対象にならないからだ。

ただし、新卒入社の会社から別の会社に転職した場合、前の会社の期間を合算できる場合がある。

  1. 退職してから次の会社に就職するまでの空白期間が、1年以内であること
  2. 前の会社での被保険者期間で受給資格の決定を受けていないこと

前の会社の勤務期間を合算できる場合の条件(例)

・2023.4.1にA社に新卒入社
・2023.9.30に退職後、1か月後の11.1、B社に転職
・2024.4.30、B社を自己都合退職

被保険者期間は、双方の会社の期間を合わせた1年となり、失業手当がもらえる。このように、別の会社の期間を合算できる場合もあるため、短期間の離職票を複数持っているという場合は、すべてハローワークに提出し、対象になるかどうかを確認してもらうのが確実だ。

失業手当は「タイミング」が大事

確実に失業手当をもらうためには、いつからいつまでもらえるか、自己都合、新卒、産後など、ケースごとに申請時期の注意点を押さえる必要がある。

受給漏れのないよう、退職前には必ずシミュレーションをして受給前の生活についても計画を立てておく必要があるだろう。今回の例を参考に、自分に合ったプラン検討してほしい。

文/木戸史(きどふみ)
立命館大学文学部卒業後、営業、事務職、編集アシスタントなどを経て、社会保険労務士事務所で社労士として勤務。現在はライターとして活動しており、社労士として多くの中小企業に携わった経験を生かし、ビジネスマンに役立つ法律知識をできるだけわかりやすく発信している。

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