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糸井重里さん、コクヨ黒田英邦社長が語る「数字に表われない会社の価値」とは?

2024.04.14

社員と企業の新しい絆の作り方

スペシャルセッション【3】社員と企業の新しい絆の作り方

最後のスペシャルセッションでは、斬新なアイデアを生み出し続ける株式会社ほぼ日とコクヨ株式会社のトップが対談。変化する時代の中で、社員と企業との関係性はどうあるべきかについて、それぞれの思いを語った。

糸井重里氏(株式会社ほぼ日代表取締役社長)
黒田英邦氏(コクヨ株式会社代表取締役社長)

「無理かも」と思うこと自体が新しい経験。数字に表われない部分が一番楽しい

糸井重里糸井重里
1971年、コピーライターとしてデビュー。現在は、株式会社ほぼ日で代表取締役社長を務め、経営者としても活躍している。

「絶対にうまくいく」やり方では意味がないし、社員も楽しくない

黒田英邦黒田英邦
2001年、コクヨへ入社。その後、コクヨファニチャー社長、コクヨ専務などを経て、現在は同社代表取締役社長を務める。

■ 森林経営のイメージ図

森林経営のイメージ図

数字に表われない部分こそ会社にとって価値がある

 コクヨでは、2021年に長期ビジョンの中で「森林経営へのシフト」を掲げた。オフィス家具・文房具・オフィス通販が大きな軸となっていた同社では、新しい価値を提供していかないと成長が難しいと考えた。価格競争になってしまうと、社員にとっておもしろくない仕事になってしまう懸念から、たくさんの事業を展開する企業を目指している。各事業を木に例え、「森林」にしていく方向性を打ち出した(左図参照)。

「土の部分が共通資産、財務的、投資的な能力などで、どんどんシェアして新しいチャレンジを応援できるような集団になっていくことを目指すと決めました」

 これに対し糸井氏は「大きな『比喩』ですよね。経営、ビジネスの話をする時に、図や絵で示せる比喩にしていることが、今のやり方としてこれからを感じさせると思っていました」と返した。

 さらに糸井氏は「僕もそうなんです」と続ける。

「今まではヒエラルキーの一番上にトップがいて、そこから枝葉が下がって、次に偉い人たちが何人かいる。『下』という場所に一般の社員がいる図が嫌だと思うから、それを倒してしまう。倒すと、ちょうど船の形みたいになるんです。トップだと思った人は先頭で望遠鏡を見ている人。その役割が社長なんじゃないかって。比喩なら誰にでもイメージを共有できる。だから、僕はほとんどのことを比喩で語るようにしています」

 黒田氏は、「今とは違う新しい姿を打ち出すこと」が社長就任の約束だったことを明かした。

「メンバーに『これ、どう?』と、事業計画を作って見せたら『おもしろくない。社長ひとりだったらいいんじゃないですか』と言われて。取締役会でも『これは君のエゴだ』と。『僕らもそれを一緒にやりたい』と思わせるような内容になっていなかったんです。試行錯誤の末、『自分もこの中のどこかにいるんだ』というイメージを持てるものにたどり着きました。指示を出してやってもらう関係ではなく、『一緒にお互いのやりたいことを実現していこう』と。そうじゃないと、人の創造性は広がらないし、新しいことにチャレンジする社員が増えないと考えたんです」

 糸井氏は、その考えに共感しながら、数字に表われない組織の価値について語った。

「僕にはとても今の話はわかりますし、自分でもそういうことを繰り返している。例えばうちの組織図は、互いに関係し合っていることがイメージできるように内臓のような形になっています。腎臓があって肝臓があって心臓がある。

でも、例えば決算発表会や説明会では、この組織図やスローガン『やさしく、つよく、おもしろく』を伝えても『どれだけ売り上げがあるか』と帰結されてしまうことがある。ただ、それにプレッシャーはあまり感じていません。これが僕らのブランド価値を上げていると捉える人もいますし、そのことで知り合った誰かが、ほかのことでまた手伝ってくれる。その人の仕事をさらに育てたことで、次の僕らのやりたいことに協力してもらっている。そう考えると、決算報告に数字として表われてない部分はたくさんあるはずなんです」

 森林経営を打ち出したコクヨでも黒田氏をはじめ社員にも変化があったという。

「新商品を出して、プロモーション、ブランディングを考える時に、今までと違うお客さんにどう伝えれば伝わるのかをみんなで考え、また、そこからさらに新たな気づきを得ることが増えている」

 こうしたメンバーの成長こそが組織において最も楽しい部分だと糸井氏も強調する。

「おそらく、チームメンバーの成長は積み重ねですから、すぐにはわからない。メンバー同士のコミュニケーションがすごく上手になったなとか、他人の言っていることの理解度が深まったなっていうのは、数字に表われません。でも、そこが一番楽しいですよね」

 また、糸井氏は失敗することをあらかじめコストに入れておくことの大切さについても言及。

「ヒットは、10本のうち1本あったらすごいですよね。でも、調子の悪い時は全然駄目だとしても、仕方ないじゃないかと。それを前提にして組織はできている。

 駄目な部分をコストの中に初めから入れておいて、助け合って、褒めたり手伝ったりすることが円滑に行なわれていると、何かが生まれるんじゃないかな」

 ふたりのリーダーの言葉に来場者たちも大きなうなずきを返し、会場は一体となっていた。

ココをアップデート

1〉「比喩」でビジョンを共有する

敢えて「曖昧さ」のある比喩を用いてビジョンや在り方などを共有することで、社員自らが考え、自主的に自分の役割を認識して行動できる。

2〉数字に表われない企業の価値を知る

すぐに成果を出せない事業の中にも、次につながる失敗や発見、新たな人との繋がりがある。社員の成長も数字では表われない企業における価値のひとつ。

3〉1本でもヒットを出せれば成功

組織は、10本中9本が外れても仕方がないという前提でいるべき。そのコストを想定しておけば、社員同士の助け合いにより、新しいものが生まれる。

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取材・文/久我裕紀

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