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若手ビジネスパーソンの働き方として注目される新たなトレンド「静かな退職」とは何か

2024.02.25

「静かな退職」とは積極的に仕事に意義を見出さない状態

「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place To Work Institute Japanは、企業に勤める20~59歳の男女を対象に静かな退職に関する調査を実施。結果をグラフにまとめて発表した。

静かな退職とは、仕事に全力投球するのを止め、必要最低限の業務をこなす働き方のこと。退職・転職するつもりはないが、積極的に仕事に意義を見出さない状態をいう。

アメリカのキャリアコーチであるブライアン・クリーリーが2022年にこの言葉(英語:Quiet Quitting)を説明する動画を公開したことをきっかけにこの言葉が広まり、現在では若手中心の働き方トレンドとして日本でも認知が広がっている。

「静かな退職」の約3割は若手

静かな退職を実施している人の年齢分布を確認したところ、静かな退職を実施している人のうち約3割は若手(34歳以下)だった。静かな退職を実施している人の約半数は「プライベートの時間が確保できる」ことをメリットと感じている。

■従業員が静かな退職を選択するきっかけは企業にあり

静かな退職を実施している人に「いつからこのような働き方をしていますか」と聞いたところ、働き始めてから静かな退職を実施するようになった人は71.0%だった。

静かな退職を選択したきっかけは、「仕事よりプライベートを優先したいと思うようになったから」(38.2%)が最も多く、次いで「努力しても報われない(正当に評価されない・給与に反映されない)から」(27.3%)が多かった。

このことから、静かな退職を選択する多くのきっかけは入社後に発生しており、それには、仕事に見合う金銭・非金銭(仕事に対するモチベーションや努力の意義)のインセンティブがないことに大きく影響を受けていることがわかった。

■静かな退職を選択してしまう前に、企業は組織改善に取り組むべき

静かな退職を実施している人に勤め先の環境でどのような変化があったら働き方が変わると思うか聞いたところ、約4割は、「勤め先の環境で変化があっても働き方は変わらない」と回答した。

このことから、静かな退職を選択した後に企業側がその選択を覆そうと働きかけても、効果は小さく手遅れ状態であることが伺える。従業員の貢献意欲を維持するには、静かな退職を選択する前の段階から企業は改善に取り組む必要がある。

調査概要

調査結果まとめ

GPTW Japan代表 荒川 陽子 氏

多様な働き方の模索が続く現在、子育てや介護などの事情で一時的に仕事をセーブするということはありますが、プライベートの事情に関係なく、かつ一時的にではなく恒久的に、必要最低限の業務しか行わないと決めており、積極的に仕事に意義を見出さない状態を選択している若手がいる……。

そんな働き方を「静かな退職」と定義し、アメリカのZ世代を中心に広がりつつあるという情報に接し、日本でも今後そうした働き方が増加していくのではないかという危機感を覚えました。そこで、静かな退職の実態を明らかにして対策検討に繋げたいと考え、調査を実施しました。

「静かな退職」は積極的に働かないけれども給料はそれなりに高い、中高年の「ぶらさがり社員」と近しい概念ではないかと思われがちですが、両者は主体的な働き方の選択において違いがあります。

「ぶら下がり社員」が終身雇用・年功賃金・新卒一括採用に代表される日本型雇用制度の結果、生み出されてしまったものであることに対して、「静かな退職」は自らその働き方を選び、同じ会社で長く働こうとしていることです。

ただし、今回の調査で明らかになったことは、入社前から静かな退職という働き方を選択していたわけではなく、入社後の会社と個人の関係性の中で選択されてしまったということです。プライベートを優先したいから、というきっかけに次いで、金銭・非金銭のインセンティブが適切に与えられず、会社に対して自らの労力を積極的に投下することに意義を見出せなくなってしまったことが理由として挙げられました。

特に注目したいのは、若手にそのような働き方を選択する人材が一定数存在するということです。まだ爆発的に増えているわけではありませんが、自身の能力開発が十分ではなく、成長の余地が大きい若手にこのような働き方が増えていくことは看過できません。本人にとっては自らの可能性に蓋をしていることであり、会社にとっては新しいチャレンジを任せられる人材が減っていくことを意味しています。

入社時には希望に満ち溢れていた若手が、静かな退職を選ぶ前に、企業として手を打つ必要があります。多様な価値観を受容し、プライベートの充実を確保できる働きやすさは担保しつつ、やりがいを喚起する。すなわち、その会社ならではの働きがいにあふれた会社を作るということに他なりません。

関連情報
http://www.hatarakigai.info/

構成/清水眞希

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