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解禁前から動き始めたUberとGO、日本版ライドシェアの戦国時代が到来

2024.02.26

テーブルゲームの『オセロ』は、その名前自体が登録商標である。かつてはツクダオリジナル、今はメガハウスがその商標を持っている。

このゲームの開発者とされる長谷川五郎によると、名前の由来はシェイクスピアの戯曲とのこと。

実際にやってみると分かるが、オセロは序盤から多く石を取り過ぎると後になって打つ手が少なくなってしまう。これはよく考えると、ビジネスの世界では頻繁にあることではないか。

4月に開始される「日本版ライドシェア」においても、まさにオセロのような光景が繰り広げられている。

「加賀版ライドシェア」はUberと連携

日本版ライドシェアにおけるオセロは、UberとGOを指す。

2月13日、Uber Japanがこのような発表を行った。石川県加賀市で開始される「加賀版ライドシェア」の導入を支援するという内容の発表だ。

加賀市では、 2024年3月16日の北陸新幹線延伸による「加賀温泉駅」開業で観光客増加が予想されていますが、深刻なバス・タクシー事業者のドライバー不足により、増車を見込めない状況です。また2024年の能登半島地震において、加賀市では被害は軽微であったものの、被災地からの避難者の移動手段の確保や、旅行のキャンセルによる観光産業への経済的な影響などの課題に直面しています。
これを受けて、Uber Japanは、日本を含む約 70カ国で利用されているUberアプリを用い、加賀市が開始する「加賀市版ライドシェア」の導入を支援し、観光需要に対応することで地域経済の活性化と震災からの復興への貢献を目指します。
Uber Japan、規制緩和発表後初となる「加賀市版ライドシェア」の導入を支援-PR TIMES

Uberは、全世界で普及しているアプリである。外国人観光客にとっては、日本でしか利用できないアプリを新しくダウンロードするよりも普段使い慣れているUberを使ったほうが遥かに早い。

このあたりを理解している自治体とそうでない自治体の落差が非常に大きい、と筆者は感じている。中には「地元住民と外国人観光客の利用を想定している」としているにもかかわらず、その市区町村でしか使えない配車アプリを開発してしまった自治体もあるのだが……。

ともかく、「世界と互換性がある」という点は極めて大きなアドバンテージになるだろう。

軽井沢町はGOと握手

ところが、Uber Japanの発表の翌日にPR TIMESでこんなプレスリリースが配信された。

長野県北佐久郡軽井沢町の日本版ライドシェア導入に、タクシー配車アプリGOが参画するというものだ。

軽井沢町では、観光シーズン中の観光客増加が顕著となり、GWや7月から9月の夏季期間、11月の紅葉期間などの繁忙期間は移動需要が局地的に膨れ上がるため、観光客・地元住民共にラストワンマイルの移動が困難となっています。一方、地元のタクシー会社が保有する車両数は、ドライバー確保が困難な状況であることや、繁忙期と閑散期との変動が大きいことによる適正な車両台数の確保が難しい状況となっています。
この課題を解決すべく官民連携で連携協定を結び、ラストワンマイルの移動を確保する施策を推進してまいります。本取り組みは、長野県タクシー協会ご協力のもと、軽井沢町の既存タクシー車両へのタクシーアプリ『GO』導入のほか、軽井沢町の県内周辺地域からタクシーの応援派遣、さらには地元団体主導での求人および『GO』の利用を促進するマーケティングの支援、地元タクシー事業者による「日本型ライドシェア」の活用を予定しています。
『軽井沢タクシー供給強化プロジェクト』始動 タクシーアプリ導入に加え長野県内周辺地域からのタクシーの応援派遣、「日本型ライドシェア」の導入など今春より開始予定-PR TIMES

GOは外国人観光客が日常的に使っているアプリ、というわけではない。が、それと引き換えに首都圏から来る日本人観光客はこれをダウンロードしている可能性が高い。

つまり「外国人の集客を想定するか日本人の集客を想定するか」という違いが、ここではっきり表れているのだ。

それと同時に、いままでオンライン配車サービスなるものを利用したことがない、そもそもそうしたサービスを知らない人を取り込むというアプリ運営者の意図も当然あるはずだ。

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