目次
相手の意見や要求を受け入れる時、「承知」を用いた敬語表現を使う機会が多い。ビジネスにおいて、同僚や上司などから依頼された場合に使用するが、使い方を誤って相手に失礼な印象を与えてしまうケースも少なくない。
そこで本記事では、「承知」の意味や使い方、ビジネスシーンに適切な言い換え表現を解説する。海外の方とコミュニケーションを取る機会の多い方は、最後に紹介する英語表現もチェックしておこう。
「承知」とはどんな言葉?
「承知」の意味や正しい使い方を見ていこう。
■意味
「承知」は主に3つの意味を持ち、「相手の依頼や要求を聞き入れること」「詳しい事情や内容を存知していること」「事情を理解して許しを与えること」を指す。上司や取引先など、目上の方に対して「わかりました」と返答する場合に使用できる。
「承知」の単語を2つに分けると、「承」が「理解したかどうかに関わらず、他者の意見を受け入れる」「物事を受け継ぐ」、「知」が「物事の道理を理解する」といった意味を持つ。
■使い方
「承知」の言葉自体には、自分をへりくだる謙譲のニュアンスが含まれない。そのため、ビジネスシーンで「承知」を使う場合は、謙譲語の「いたしました」や丁寧語の「しました」を付けると良いだろう。
・目上の人に使うなら「承知いたしました」
「承知いたしました」は、相手の意見や指示に対して敬意を表すニュアンスを含む敬語表現。ビジネスシーンで用いるケースが多く、上司や取引先、顧客からの依頼を引き受ける際に使用できる。
補助動詞の「いたしました」は、原則としてひらがなで表記するのが正しいとされる。そのため、漢字で「致しました」と表記するのは誤り。なお、「承知いたしました」は、謙譲語の「いたす」と丁寧語の「ます」が結びついた表現だ。同種類の敬語が続く二重敬語にはあたらないため、適切な表現といえる。
「承知」の言い換え表現
次に、ビジネスシーンに適切な「承知」の言い換え表現を紹介する。
■「承りました」
「承りました」は、相手からの依頼や要求を聞き入れ、責任を持って対応する行ないを指す敬語表現。ビジネスにおいては、上司や取引先との電話対応、顧客にサービスを提供する際の返答に使用できる。
「承る」が「目上の方からの指示を謹んで引き受ける」の意味を持ち、「受ける」の謙譲語にあたる。また、混同されがちな表現の「受け賜る」は、品物などを譲渡する際に使われる。そのため、電話やメールなどで依頼を引き受ける場合は「承る」と表現するのが正しい。
■「かしこまりました」
「かしこまりました」は、身分の高い相手からの要求に対し、内容をしっかりと理解した旨を伝えられる丁寧語。顧客の要求を聞き入れるほか、上司から業務内容の説明を受けた際などに使用できる。
謙譲表現である「かしこまりました」は、相手に対して強い敬意を払うだけではなく、物腰がやわらかく誠実な印象を与えられる。接客などでサービスを提供する際は、「承知いたしました」よりフレキシブルなニュアンスを含む「かしこまりました」を使うと良いだろう。
「承知」を英語で言うと?
最後に、「承知」と似た意味を持つ英語表現を紹介する。
■Sounds good
“Sounds good”の意味は「了解」「良いね」。相手の提案を肯定的に受け取る際に使えるフレーズだ。ややカジュアルな印象を与えるため、ビジネスでは同僚に対して使用する。また、複数人に向けて「自分はその提案で良い」と伝えたい時に“Sounds good to me”と表現する場合もある。
【例文】
A:“I would suggest to the Chief.”
(私が課長に提案しようと思う)
B:“That sounds good.”
(それは良いね)
■You got it
“You got it”は「承りました」や「その通り」といった意味を持つフレーズ。主に飲食店などで、オーダーに対する返答に用いることができる。ただしカジュアルな表現のため、上司や取引先に対して使うのは適切ではない。
【例文】
“You got it. Let me repeat your order.”
(承りました。ご注文を繰り返させていただきます)
■Absolutely
“Absolutely”の意味は「かしこまりました」「まったくその通り」。ビジネスなどのフォーマルなシーンで使われる機会が多く、上司や取引先、顧客などに対して強い同意を示す際に使用できる。また、自分と同等の立場である相手とのコミュニケーションにおいて、「本気で」を意味する「マジで」と表現する場合もある。
【例文】
“Absolutely. I will make my best effort.”
(かしこまりました。最善を尽くします)
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部