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多くのビジネスリーダーを輩出するP&Gが開校したビジネススクールで何を学べる?

2024.02.25

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

P&Gの人材育成の基本「P&G流戦略的コミュニケーション」の手法を一般に無料で共有

2023年に50周年を迎えたP&Gジャパン(以下、P&G)は、同社初の一般向けビジネススクール「P&G ビジネススクール」を今年5月に開校、P&Gの戦略的コミュニケーション「シン・コミュニケーション力習得プログラム」を無償提供すると発表した。

同スクールは、2024年5月から2025年5月までに第1期~第3期の実施を予定。それぞれに「管理職向けコース」と「すべての方向けコース」の2コースを設定している。第1期の参加者募集は今年の3月15日まで、P&Gサイト内の応募ページにて行われている。

「人材育成はP&Gにとって重要なグローバル戦略であり、社員のキャリアを伸ばし、能力を高めることは長期的なビジネス構築において重要な要素です。これは日本においても同様で、日本の次世代リーダーを育てることは、グローバルリーダーの育成にも繋がると思っています。

P&Gは世界的に次世代リーダーを育成するベストカンパニーとして長年評価を得ており、多くのP&Gジャパン社員がグローバルで活躍しています。本スクールでは、P&Gの200以上もの研修プログラムの中から厳選したものを提供いたします」(P&Gジャパン合同会社社長 ヴィリアム・トルスカ氏)

〇P&G の戦略的コミュニケーション「シン・コミュニケーション」とは

P&Gでは30以上もの国籍の社員が働き、20 年以上前から在宅勤務を導入するなど、背景や価値観が異なる中で、多様な人々の能力を最大限発揮させるためのコミュニケーションに対する知見を有している。

「P&Gでは人材を最重要資産と捉えており、人材育成は単なる人事戦略を超えて、経営戦略の重要な一環と考えています。昨今、日本でも人的資本経営が注目されていますが、人材の成長を促すことは創業以来根付いているP&GのDNAであり、全世界のP&Gで共通の考え方になっています。人材を育成していく上で、私たちが活用しているのが戦略的コミュニケーションで、非常に重要な役割を果たしています」(P&Gジャパン合同会社 人事戦略本部 シニアディレクター 市川薫氏)

P&Gの戦略的コミュニケーション「シン・コミュニケーション力」の特徴は3点ある。

(1) 相手の行動を促すための「コミュニケーションの目的」を常に明確にすること。
(2) 「どのように伝えるか(HOW)」だけでなく、「伝える相手(WHO)を深く理解した上で伝えるべきこと(WAHT)」を構築すること。
(3)「個々の能力を最大限に引き出すための人材育成の基本」であること。

〇シン・コミュニケーション力習得プログラム「管理職向けコース」

管理職向けコースは人材育成向けの内容。前編ではコーチング力、後編ではフィードバック手法を学ぶ。

P&Gでは全ての管理職に、人材を育成すること、組織の成果を最大化することが人事評価の項目に入っており、それを実現するために同社で実施しているプログラムがコーチングとフィードバック。

コーチングは、コミュニケーションを通じて相手の能力を最大限に引き出す並走力と捉え、部下・メンバーが取り組まねばならない課題に対し、一方的に指示するのではなく、自分で考えて気づきを与えて、自発的にそれを成し遂げることを助けるためのコーチング力を学ぶ。

フィードバック手法は、未来の行動変容を生むための成長を促す内容。フィードバックは批判やダメ出しと捉えられてしまうことも多いが、P&Gのフィードバックはその人の成長にとって不可欠なもの=贈り物という考え方であり、積極的にフィードバックしていく文化が根付いている。

〇シン・コミュニケーション力習得プログラム「すべての方向けコース」

すべての方向けコースは成長思考とリーダーシップ思考。前編では「成長思考―コミュニケーション(発言と行動)が変わる成長思考」と題し、P&G社員全員が基本能力として期待されている成長思考を学ぶ。

結果よりも成長に目を向け、思い通りの結果が得られない場合でも、その過程でどのくらい成長できたかに照準をあてることが、可能性を広げることにつながる。成長思考とは、そうした「可能性を広げることができる心構え」を指し、それを習得することによって自身が起こす「コミュニケーション(発言と行動)」も変化し得る。成長思考を養うためには、自分の基礎能力は自分が挑戦したことによって構築できるという自分自身への信頼が基本となる。

後編は、自己成長を促進する方法を学ぶ「リーダーシップ思考―コミュニケーション(発言と行動)で導く自分らしいリーダーシップ思考」。P&Gでは社員一人一人が自分の与えられた責任分野においてリーダーシップを発揮するとことが求められている。ただし、そのスタイルは個人や、ステージによっても異なるため、リーダーシップを最大化するにはどうすべきかを学ぶのがリーダーシップ思考のトレーニング。

自身に対して成長を促進する考え方や心構えを取得するには、明確なステップや行動があり、アプローチは一つではなく、自分の得意なアプローチスタイルで取り組むことによって、よりハードルが低く、より効果的に習得することができる。

「P&Gの研修プログラムの特徴は、すべて自社開発で、講師は自社の社員が務めています。そのため、実際のビジネスで起こりうる実践的な内容を多く含んでいます。また、トレーニングの後には行動計画を準備。学んだことを生かして、今日まさにこの瞬間から自分の行動をどのように変えるのかということを、トレーニングの最後に書きます。

参加者は一方的に聞くというのではなく、多くの発言が求められますし、講師側もファシリテーターとして、みなさんの発言をうまく調整していき、お互いから気づきを引き出す、導き出すことを役割としています。今回、弊社が行うビジネススクールでも、この3つの方法を踏襲してまいります」(市川氏)

人事統括本部 人材育成・能力開発グループ エキスパート 松野美緒氏による「シン・コミュニケーション力習得プログラム」の模擬研修を実施。模擬研修のテーマは「管理職向けコース」後編の講座「組織の能力を伸ばす効果的なフィードバック」。受講者は上下の関係に限らず相手の行動変容を促し、成果に繋げるための効果的なフィードバック方法を学んだ。

最初の座学で松野氏は、「P&Gではフィードバックはギフトである」「フィードバックとは本来ポジティブなもので、成長を促すもの」「いいフィードバックはさらなる信頼を築く大事なコミュニケーションである」と話した。

フィードバックを伝える心得としてP&Gでは“CAR”=(Context背景)、Action(行動)、Results(結果・成果)を重視しており、「率直に、段取り良く、定期的に、用意する」がポイントであると伝え、座学を踏まえて、具体的な事例を使ってロールプレイ演習を実施し、「明日からのアクションプラン」を作成した。

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