メタバース結婚式でどこからでも参列可!
おめでたい儀式のほうも負けてはいない。先日はメタバースで本物の結婚式が執り行われた。
恋愛メタバース「Memotia(メモティア)」を運営する株式会社Flamersの代表取締役である佐藤航智氏が自ら、メタバース上で出会った女性とメタバース結婚式を開催したのだ。
●メタバース結婚式
新郎の佐藤氏はメタバース上では「Kouch」というネームで活動している。このたびメタバースで挙式したお相手は、2023年8月28日に現実世界で佐藤氏と入籍した佐藤奈美氏。メタバース上では「なみしろ」というネームだ。
二人が出会ったメタバースプラットフォームは「VRChat」と呼ばれるもので、パソコンやVRヘッドセットを利用し、自分のアバターと実際の音声を通じてさまざまな人とコミュニケーションを取ることができる。
メタバース結婚式を挙げた新郎・佐藤航智氏(右)と新婦・佐藤奈美氏(左)
メタバース結婚式はこのVRChat上で、2023年11月22日の「いい夫婦の日」に執り行われた。
会場は「こちなみ結婚式ワールド」。新郎新婦が今回のために作成し、VRChat上にアップロードしたオリジナルのものだ。
当日はVRChatだけでなく、YouTubeで同時配信されたため、VRChatのアカウントを持っていない人も視聴することができた。そのためVRChatで知り合った新郎新婦の友人はもちろん、面識のない不特定多数のユーザーに見守られながら挙式が執り行われた。
【タイムスケジュール】
21:45 開場
22:00 挙式スタート。新郎新婦入場
22:20 披露宴スタート
22:30 友人代表スピーチ
22:45 共有の友人たちによる余興
23:00 終わりの挨拶
従来の結婚式の文化を踏襲しつつ、ゴンドラからジャンプして着地する入場から超巨大なケーキバイト、ゲストを待たせず一瞬で完了するお色直しまで、メタバースならではの仕掛けも多数用意された。
佐藤氏は「メタバースで出会ったKouchとなみしろがメタバース結婚式を挙げることで、このような新しい形の恋愛に関心を持つ人が増え、メタバース恋愛が一般的になることを願っています」とねらいを話した。
●メタバース結婚式はおすすめか
メタバース結婚式を終え、他のカップルにも勧めたいかと佐藤氏に尋ねたところ、「ぜひおすすめしたいです」と答える。
「メタバース結婚式では、既存の形式にとらわれず、リアルではできない自由な演出をつくることできます。また、メタバースなので遠方の方にもご参加いただけます。ご祝儀が不要なので気軽に参加いただけるのも魅力です」
一方で注意点があるという。
「メタバース結婚式はすべて自分たちでつくりあげる必要があります。リアルの結婚式のように結婚式会場の方に相談しながら進めることはできません。ただ、ゼロから考えて自由に作ることができるのは、魅力的なところでもあります」
全国に配信できることから、ゲストはご祝儀なしでも気軽に場所問わず参列しできる点は、大きなメリットといえそうだ。さらにゼロから作り上げられる点も、カップルによってはメリットが大きい。これから、自らメタバース結婚式を執り行うカップルも出てくるだろう。
新しい冠婚葬祭セレモニーの形を紹介した。いずれもかつての葬儀や供養、結婚式の形とは程遠いが、ふたを開けてみると現代ニーズをとらえた形であることがわかった。今後の発展に期待したい。
【取材協力】
アルファクラブグループ
Memotia
文/石原亜香利