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「ご連絡させていただきます」は敬語として誤った表現か?

2024.03.21

「ご連絡させていただきます」が、正しい使い方かどうか不安な方もいるのではないでしょうか。厳密には二重表現であるものの、広く使われているため使用自体は問題ないとされています。

本記事では、「ご連絡させていただきます」の使い方や言い換え表現を解説します。

「ご連絡させていただきます」とは

「ご連絡させていただきます」という言い回しを、ビジネスで頻繁に使っている方も多いでしょう。自分がへりくだるニュアンスで使われるこの言葉は、以下の4つに分類できます。

  • 「ご」接頭語(丁寧語や謙譲語)
  • 「連絡」情報などをお互いに知らせること
  • 「させて」使役の助動詞
  • 「いただきます」もらうの謙譲語

参考:デジタル大辞泉

相手から連絡の許可を得ていることが前提

「させていただく」は、相手の許可のもとで行うことを表す謙譲語です。「ご連絡させていただきます」についても、相手から連絡することを許可してもらっていることが前提になります。そのため、相手から承諾を得ていないにもかかわらず、一方的に連絡をするのは、本来の意味に反していることに注意しましょう。

「させていただく」は、「ご連絡させていただきます」以外にも、多く使用されている表現です。たとえば、「控えさせていただく」「休ませていただく」「遠慮させていただく」などの表現が該当します。

日本語の動詞は、「お帰りになる」「お食べになる」「ご歓談される」など、「お(ご)~される」の形にすれば簡単に尊敬語になります。その一方で、謙譲語にできないものが多いことが特徴です。そのため、「させていただく」を動詞につけて謙譲語をつくってきました。すべてが誤りではありませんが、乱用されることで誤用も増えてきました。

文化庁も「させていただく」は誤用が多い表現として「敬語の指針」の中で紹介しており、「相手の許可を受けている」「それによって恩恵を受ける」という2つの条件を満たす必要があるとしています。

たとえば、よく耳にする「司会を務めさせていただきます、〇〇です」という挨拶は、厳密には誤りです。通常、司会をすることに対して、わざわざ相手の許可を取らないためです。

参考:文化庁「敬語の指針」

厳密には二重敬語にあたる

「ご連絡させていただきます」の接頭語である「ご」が謙譲語であるとする場合、「させていただきます」も「する」の謙譲語であるため、二重敬語にあたると考えられます。

広く使われているため使用自体に問題はないとされますが、二重敬語を敬遠する相手もいます。上司や取引先などに対しては、「ご連絡いたします」や「ご連絡申し上げます」を使用したほうが無難といえるでしょう。

「ご連絡させていただきます」を使った例文

実際に使う際に参考になるように、例文をご紹介します。

  • こちらからご連絡させていただきます
  • 確認後に改めてご連絡させていただきます
  • 〇〇様のご紹介ではじめてご連絡させていただきます

基本的に、相手に「連絡する」と丁寧に申告するイメージです。許可されているわけではないのにはじめて連絡をすることは、「させていただく」の相手の許可が必要という条件に反しています。そのため、「〇〇様のご紹介で~」と、きっかけを説明するとよいでしょう。

「ご連絡させていただきます」の言い換え表現

「ご連絡させていただきます」は、広く使われているため使用すること自体は問題ありませんが、厳密には二重表現にあたります。したがって、言い換え表現を知っておくと便利です。

ここからは、言い換え表現として使える、「ご連絡します」「連絡いたします」「連絡差し上げます」「連絡申し上げます」について解説します。

ご連絡します

「ご連絡します」の接頭語である「ご」は謙譲語で、「ます」は丁寧語です。

「ご連絡させていただきます」という言い回しに慣れてしまうと、素っ気なく感じてしまう可能性がありますが、二重敬語にあたらず正しい使い方です。「追って」や「改めて」をつけると、より丁寧な印象になるでしょう。「こちらから追ってご連絡します」というように使います。

連絡いたします

「連絡いたします」の「いたす」は謙譲語であり、「ます」は丁寧語です。相手を敬いながら、連絡をする旨を伝えられる言葉です。

「ご」をつけて「ご連絡いたします」としてしまうと、謙譲語が2つ重なるため二重敬語になってしまいます。「明日の夕方に連絡いたします」などと使いましょう。

連絡差し上げます

「連絡差し上げます」は、「差し上げる」という謙譲語と丁寧語の「ます」の組み合わせによる、正しい敬語表現です。ただし、「差し上げる」が「与える・あげる」の謙譲語のため、上から目線であると受け取られる可能性があります。

より丁寧に伝えようと、頭に「ご」をつけて「ご連絡差し上げます」とすると、謙譲語が2つ重なり二重敬語になってしまうことに注意しましょう。「こちらから追って連絡差し上げます」というように使います。

連絡申し上げます

「連絡申し上げます」も、謙譲語の「申し上げる」と丁寧語の「ます」の組み合わせによる、正しい敬語表現です。「改めて連絡申し上げます」「折り返し連絡申し上げます」などと使用します。

「ご連絡させていただきます」を正しく使おう 

「ご連絡させていただきます」は、本来は相手の許可を得たうえで連絡をすることを意味する言葉です。そのため、相手から承諾を得ていないにもかかわらず、一方的に連絡をするのは、言葉の意味に反していることを知っておく必要があります。

また、接頭語である「ご」が謙譲語である場合、「させていただきます」も「する」の謙譲語であるため、二重敬語にあたると考えられます。広く使われているため、使用自体に問題はないとされますが、上司や取引先などに対しては「ご連絡いたします」や「ご連絡申し上げます」を使用したほうが無難といえるでしょう。

「ご連絡させていただきます」を正しい敬語表現で言い換える際は、「ご連絡します」「連絡いたします」「連絡差し上げます」「連絡申し上げます」などを使います。「ご連絡させていただきます」の言葉の成り立ちや使用する際の注意点を把握したうえで、適切に使えるようにしましょう。

構成/橘 真咲

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