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「お力添えいたします」「お力添えいただきありがとうございました」は、いずれもビジネスシーンでよく見られる表現です。しかし、「お力添え」の「力」は自分の力なのか相手の力なのかと、気になったことはありませんか。
「お力添え」は誰の力なのか、また、正しい使い方や言い換えの表現についてご紹介します。ぜひ参考にして、適切な場面で適切な表現を使ってみてください。
「お力添え」とは相手に対するサポートに使う言葉
「力添え(ちからぞえ)」とは、他人の仕事を手助けすることや力を貸すことです。ただし、「力添え」と表現することはあまりなく、「お力添え」と「お」をつけることが一般的です。
「お力添え」は自分が相手の仕事を手助けするときだけでなく、相手が自分(相手にとっての相手)の仕事を手助けするときにも使われます。そのため、お力添えの「力」は、文脈によって自分の力になったり相手の力になったりします。
参考:デジタル大辞泉
「お力添え」の使い方を例文でご紹介
お力添えは、文脈によって「力」の主体が変わる点に注意が必要です。お力添えの「力」が自分のときは、次のように使ってみましょう。
・お力添えいたします
・喜んでお力添えします
一方、お力添えの「力」が相手のときは、次のように使えるでしょう。
・お力添えいただいたおかげで……
・お力添えをいただきありがとうございました
それぞれの使い方について解説します。ぜひ「誰の力か?」という点に注目してみてください。
■お力添えいたします
「お力添えいたします」は、相手に協力するときに使う表現です。「いたします」は「する」の謙譲語で、自分を低めて相手を高めるときに使われます。目上の人に対して協力するときに「お力添えいたします」を使ってみましょう。
・わたしの仕事は終わりました。微力ですが、お力添えいたします。
・お忙しそうですね。お力添えいたしましょうか?
参考:デジタル大辞泉
■喜んでお力添えします
「お力添えします」も、相手に協力するときに使う表現です。「いたします」よりはカジュアルですが、「します」も丁寧な表現のため、日常生活で使いやすいでしょう。
・「手伝ってくれる?」「喜んでお力添えします」
・今日は忙しいですが、明日は手が空きそうです。プレゼンの資料作成をお力添えします。
■お力添えいただいたおかげで……
「いただく」は「もらう」の謙譲語です。相手から何かをもらった自分を低めることで、相対的に相手を高めます。つまり、「お力添えいただいた」は、相手の「お力添え」を受け取った自分を低め、「お力添え」をした相手を高める表現です。
・お力添えいただいたおかげで、早く仕事が終わりました。
・お力添えいただいたおかげで、素敵な手土産を選べました。
参考:デジタル大辞泉
■お力添えをいただきありがとうございました
サポートをしてもらったときは、相手の「お力添え」に対して感謝を述べましょう。「お力添え」を使った感謝の表現をご紹介します。
・この度は、お力添えをいただき、誠にありがとうございました。
・お力添えをいただき、本当に感謝しております。
「お力添え」は、自分が協力するときだけでなく相手に協力してもらうときも使える便利な言葉です。誰の「力」なのかに注目すると、前後の言葉も自然と決まります。
「お力添え」の言い換え表現
「お力添え」は自分の力に対しても相手の力に対しても使える便利な言葉ですが、どちらか一方の意味だけで使っている人もいるため、場合によっては相手を混乱させてしまうかもしれません。
誤解なく意味を伝えるためにも、状況に合わせて言い換えるほうがよいこともあります。言い換えの表現としては、次のものがあります。
・ご支援
・ご尽力
使い方を例文をとおして見ていきましょう。
■ご支援
「支援」とは、力を貸して助けることです。「ご支援」は「お力添え」と同様、自分が相手を助けるときだけでなく、相手が自分(相手にとっての相手)を助けるときにも使えます。自分の力を相手に貸すときであれば、以下のように使ってみましょう。
・ご支援いたします。
・ご支援いたしましょうか?
反対に相手の力を借りるときなら、次のように表現できます。
・ご支援を賜りました。
・多大なご支援に感謝いたしております。
参考:デジタル大辞泉
■ご尽力
「尽力」とは、ある目的の実現のために、力を尽くすことです。自分の力を尽くすときは、次のように使いましょう。
・尽力いたします。
・尽力してまいります。
一方、相手の力について述べるときは、次のように使いましょう。
・ご尽力をいただき、ありがとうございました。
・今後もご尽力を賜りたいと思います。
自分の力については「尽力」、相手の力については「ご尽力」と使い分けてください。
参考:デジタル大辞泉