IT・オフィス市場
パソコンとタブレット端末市場は、前年比6%減の1,810万台となった(図3)。特需から数年が経過したものの依然減少傾向にあり、法人向け、個人向けともに前年割れとなった。
パソコン*5は前年比5%減の1,200万台となった。そのうち個人向け市場は同11%減の320万台となった。物価の上昇や外出の再開による家計の予算配分の変化といった外部要因に加え、機器の価格上昇や使用場面の減少も需要の低調に影響しているとみられる。
一方、法人向け市場は同2%減の880万台となった。20年以降、企業や教育現場において機器の導入や携帯性の高い機器へのリプレイスが進んだ結果、需要が落ち着いてきた可能性がある。
ただし、以前より機器の導入率が上がっていると考えられること、OSサポート終了へ向けたリプレイスが一部始まっているとみられることで、特需以前と比較するとやや高い水準を維持している。
タブレット端末*6は前年比10%減の610万台となった。個人向け市場は同2%減の230万台となった。22年に登場したブランド群が市場を拡大した一方で、主力製品には縮小がみられた。通信方式別にみると、 Wi-Fiモデルの数量構成比は73%、携帯電話専門店において伸長が見られたキャリア回線付きは3%ポイント拡大し25%、SIMフリーモデルは2%となった。法人向け市場は13%減の380万台となった。
パソコン同様、特需以前と比較すると高い水準ではあるが、文教向けの導入が一服した可能性がある。
イメージング市場
デジタルカメラは前年比7%増の120万台となった。11年から市場縮小が続いていたが、13年ぶりに数量ベースでプラスに転じた。タイプ別にみると、コンパクトカメラが数量前年比6%増、レンズ交換式カメラが同9%増といずれも伸長した。
レンズ交換式のミラーレス一眼は数量前年比15%増と2年連続で二けた成長となった。コンパクトカメラもレンズ交換式カメラもいずれも平均価格は上昇しており、デジタルカメラ全体の税抜き平均価格は前年から5%上昇の9万3000円となった。
交換レンズは、前年比4%増の50万本となった。一眼レフ用は数量前年比23%減であったが、ミラーレス一眼用は同10%増となった。交換レンズに占めるミラーレス一眼用の割合は、数量ベースで86%と前年から5%ポイント伸長した。交換レンズの平均価格も上昇しており、前年から7%上昇の10万2000円となった。
生活家電市場
冷蔵庫は前年比5%減の420万台となった。20年から4年連続で前年の販売数量を下回った。容量クラス別の数量構成比は、小容量(200L以下)が39%、中容量(201-400L)が24%、大容量(401L以上)が37%となった。
大容量の数量構成比は、家電エコポイント特需からの買い替えや増税前の駆け込みにより40%を記録した19年から3%ポイント縮小した。
洗濯機は前年比5%減の490万台となった(図4)。市場規模は17年以来6年ぶりに500万台を下回った。市場が縮小した中、ドラム式洗濯機の販売数量は前年から4%増加した。
結果、タイプ毎の数量構成比は、ドラム式が前年から2%ポイント拡大し21%、縦型が77%、二槽式が2%となった。洗濯容量別の数量構成比では、大容量(洗濯容量8kg以上)が51%と過半数を占めた。
大容量のうち12kg以上の製品は大きく伸長し、洗濯機に占める数量構成比は前年の12%から15%に拡大した。小容量(6kg未満)は20%、中容量(6kg以上8kg未満)は29%となった。価格の高いドラム式の拡大もあり、税抜き平均価格は前年から5%上昇し、9万2000円となった。
エアコンは前年比7%減の790万台となった。気象庁によると6月から8月の気温は1898年の統計開始から125年で最も高くなった。それにもかかわらず市場は伸び悩み、16年以来7年ぶりに800万台を下回った。
18年から20年にかけて買い替えが進んだことで、夏場の故障率が下がった可能性がある。最も構成比の大きい冷房能力2.2KW以下の販売数量は前年から一割減となった。
掃除機は前年比7%減の740万台となった(図5)。全ての主要タイプにおいて販売数量は前年を下回った。キャニスタータイプからスティックタイプへの需要の移行は引き続きみられた。
スティックタイプの数量構成比は前年から2%ポイント拡大し56%となった一方、キャニスタータイプは1%ポイント減の23%となった。
ハンディタイプの数量構成比は11%、ロボットタイプは同6%だった。掃除機の税抜き平均価格は、前年から6%上昇して2万6000円となった。
構成/清水眞希