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GfK Japanは全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データ等を基に、2023年の家電およびIT市場の販売動向を発表した。本稿ではその概要をお伝えする。
国内家電小売市場
2023年の家電小売市場は前年から1.4%減の6.9兆円となった。コロナ禍における巣ごもり需要や特別定額給付金の恩恵を受けた20年は7.3兆円市場となったが、特需の反動もあり21年以降は微減傾向が続いている。
分類別に見ると、カメラ関連製品、スマートフォンを中心とする電話関連製品が前年の販売金額を上回った。カメラ関連製品は旅行や各種イベントの再開、電話関連製品は高価格帯端末の拡大と、昨年末の端末割引規制強化による駆け込み需要が追い風となった。一方、AV関連製品、IT関連製品はいずれも前年の販売金額を下回った。
テレビ、パソコンといった主力製品の販売価格は上昇傾向にあったが、買い替え需要が伸びなかったことが影響した。生活家電では外出制限がなくなったことにより、身だしなみを整えるための理美容家電の販売が伸びたが、主力の冷蔵庫、洗濯機の買い替え需要の鈍化、夏季のエアコンの販売が平年を下回ったことなどにより、生活家電トータルでは前年の販売金額を割り込んだ。
インターネット販売の金額規模は前年から微減となり、店頭販売と比べ前年からの落ち込み幅がやや大きかった。これにより、家電小売市場全体におけるインターネット販売の金額構成比は前年をわずかに下回る20.5%となった。23年に関しては、外出制限がなくなったことで購入場所が店頭に回帰したとみられる。
AV市場
薄型テレビは前年比11%減の470万台となり、2年連続の二けた減となった(図1)。490万台だった16年を下回り、薄型テレビが主流になってから最も低い市場規模となった。家電エコポイントやアナログ停波特需からの買い替え需要が一巡し、その反動減が続いている。
全体的に需要が落ち込んでいる状態だが、「ミニLED」や「量子ドット」などを搭載した高画質を訴求するモデルはラインアップの増加もあり、昨年から販売数量が倍増した。
55インチ以上の大型サイズにおいて、これらのモデルは数量ベースで13%を占めた。高価格帯製品が伸びたこともあり、薄型テレビの税抜き平均価格は、前年から4%上昇の9万4000円となった。
BDレコーダーは数量前年比23%減の100万台と、2割を超える落ち込みとなった。動画配信サービスの普及により、録画需要が逓減していることが影響しているとみられる。
特に低価格帯の販売減少が顕著であった。その一方で、税抜き7万円以上の高価格帯の販売は前年を上回っており、多チューナー搭載、大容量HDD搭載モデルなど高機能製品の需要は比較的堅調だったと言える。
結果、BDレコーダーの税抜き平均価格は5万5000円と前年から8%上昇した。
ヘッドホン/ヘッドセットは数量前年比7%減の1,890万本となった。前年に続き、コロナ禍以降テレワーク需要で市場が伸長したことに対する反動減が主な要因であった。
市場の半数弱を占める有線タイプが同16%減と振るわなかった。その一方で、市場の3割強を占める完全ワイヤレスイヤホン*3は同4%増と、引き続き市場をけん引した。
完全ワイヤレスイヤホン市場における価格は二極化が進んでおり、比較的手に取りやすい税抜き5000円未満の製品が数量前年比12%増と伸長すると共に、税抜き3万円以上の高価格帯製品も前年の2.8倍と大幅に拡大した。
高価格帯製品拡大の要因として、各社フラッグシップモデルとしてノイズキャンセリング機能を強化したものなどが販売され、それらが需要を喚起したものとみられる。
テレコム市場
携帯電話は数量前年比5%減の2,730万台となった(図2)。そのうち9割強を占めるスマートフォン(ファブレット含む)が同4%減の2,570万台、フィーチャーフォンが同13%減の160万台となった。
人口の大半がスマートフォンを保有するようになって久しいが、平均使用年数は4年を超えてここ数年高止まりしており、端末買い替え需要の停滞が窺える。
その中で、23年は高価格帯製品が拡大した。税抜き端末価格12万円以上の比較的高価格なスマートフォンは、数量前年比78%増と大幅に伸長し、数量構成比は前年から20%ポイント増の42%にまで拡大した。一部製品における値上げの影響もあったが、同価格帯においてはカメラや翻訳機能の高性能化が進んでおり、機能面での充実が販売増に繋がったものとみられる。
ウェアラブル端末は前年比4%減の360万本となり、これまでの拡大傾向に一服感が見られた。中でも、半数以上を占めるスマートウォッチが数量前年比12%減と不調であった。
一方で、市場の3割弱を占めるフィットネストラッカーは、税抜き平均価格1万円未満の比較的手頃なラインナップが拡充し、同6%増と前年に続いて拡大した。