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全国の自治体で粗大ごみの処理手数料のキャッシュレス化が進んでいる理由

2024.02.18

背景は「収入証紙」に類似

ここで話は少し飛ぶ。

先月、埼玉県内の各運転免許センターでちょっとした騒動が発生した。

それは、今年から埼玉県は収入証紙の取り扱いをやめ、代わりにキャッシュレス決済を導入したための混乱である(大野元裕埼玉県知事は「大きなトラブルはない」と発言しているが)。

キャッシュレスに対応している人とそうでない人とで利便性に少なくない差が生じたのだ。これは現金非対応になったのが原因というよりも、埼玉県の広報力の弱さが原因ではないかと筆者は考えるのだが……。

いずれにせよ、収入証紙による支払いは今後取り扱いが減る一方であること、そしてキャッシュレス決済対応がより充実していくことはここで断言できる。

粗大ごみ収集シールも、収入証紙と同じ運命をたどることは想像に難しくない。ただし、粗大ごみ収集シールは「それを完全に廃止したら行政サービスを受けられなくなる市民が発生する」という点で、収入証紙よりセンシティブな要素を含んでいるのではないか。

紙の領収書は発行されず

粗大ごみ処理手数料のキャッシュレス決済は、実はひとつ短所というか「省かれてしまう大事なもの」がある。
それは領収書だ。

もちろん、キャッシュレス決済による取引履歴はアプリやサイトに記録されるが、税金や公的手数料を納めた際は必ず紙の領収書をもらっておくという人は少なくないはず。

この問題はたとえば自動車税の納付にも共通するが、「公的機関に料金を払った」という記録を確実に保存しておきたい人にとってキャッシュレス決済はいささか使いづらい部分があるのだ。

ちなみに、自動車税をキャッシュレス決済で支払った場合、筆者の住まい(静岡市)では紙の領収書は有料で発行される。

「草の根DX化」の第一歩

そうした事情もあるが、粗大ごみ処理の申込みにキャッシュレス決済とAIを組み込んでいる昨今の流れは市民生活を大幅に向上させる施策だ。

これは高齢者がキャッシュレス決済やスマホを始める大きなきっかけにもなるのでは、と筆者は考えている。

日本の高齢者は「自治体がこういうことを始めたから自分もそれをやってみよう」という傾向があるようで、それ故に粗大ごみ申込みの完全オンライン化が「草の根DX化」につながる可能性も見込まれるのだ。

そうした角度からも、この取り組みは非常に有意義と言えるだろう。

【参考】

粗大ごみ処理手数料が電子決済で支払い可能となります-横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/gomi-recycle/gomi/shushu/sodaigomi/dashikata-shousai/shushudenshikessai.html

令和6年3月1日から粗大ごみの収集申込が便利になります-大阪市
https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000617264.html

取材・文/澤田真一

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