セキュリティ相談急増の背後にある要因
セキュリティ相談の件数が前四半期比で急激に増加している現状が報告されています。情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口に寄せられた相談数は2023年第4四半期には3176件にも達し、前四半期の件数から約46.9%増加しました。(参考:セキュリティ相談、前四半期比46.9%増 – 「偽警告」が倍増)
現代社会におけるセキュリティ相談の急増は、単に技術的な進展のみならず、社会全体のデジタル化の進展と深く関連しています。近年、ビジネスや日常生活においてデジタル技術の利用が急速に拡大していることが、セキュリティリスクの増大に大きく寄与しています。
また、ダークウェブ上での悪意のあるプログラムのやり取りが活発化していることも、セキュリティ脅威の増大に影響を与えているでしょう。次からは、それぞれの関係性について解説します。
■社会のデジタル化とセキュリティリスクの増加
社会のデジタル化が進むにつれて、個人情報や企業の機密情報がデジタル形式で保存・交換される機会が増えています。
オンラインバンキング、Eコマース、リモートワークの普及などは、日常生活に便利さをもたらす一方で、サイバー攻撃の新たな標的を生み出しています。特に、中小企業や個人が適切なセキュリティ対策を怠ることが多く、攻撃者にとって魅力的なターゲットとなってしまうでしょう。
■ダークウェブにおける悪意あるプログラムの取引
最近では、ダークウェブ上で悪意のあるプログラムやツールが容易に取引されるようになってきています。これにより、サイバー攻撃を行うためのスキルやリソースが限られた個人でも、高度な攻撃ツールを入手し、大規模な攻撃を行うことが可能になっています。
フィッシングキット、ランサムウェア、スパイウェアなど、さまざまな種類の攻撃ツールがダークウェブを通じて流通し、サイバー犯罪の門戸を広げているのです。
このような社会的背景を踏まえると、セキュリティ相談の急増は、技術的な側面だけでなく、社会全体のデジタル化の進展やダークウェブにおける悪意のあるプログラムの取引など、より広範な社会的要因に根ざしていることが明らかになります。
したがって、これらの問題に対処するためには、単に技術的な対策を講じるだけでなく、社会全体でのセキュリティ意識の向上と情報共有が不可欠です。