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缶詰の完成度に驚き!高校生が作った未利用魚のオリジナル缶詰No.1を決める「LOCAL FISH CAN グランプリ」はフードロスの削減の切り札となるか!?

2024.02.18

“海の厄介者”アイゴを、おいしい缶詰で人気者に!

もうひとつは、最優秀賞に次ぐ優秀賞を獲得した、学校法人関西学園岡山高等学校 (岡山県) の「ばり!うま!アイゴ?アヒージョ レモン味」。使用している未利用魚は近年、瀬戸内海の温暖化で増えているアイゴ。海藻類を食べてしまうことから“海の厄介者”といわれているアイゴをおいしく食べてもらうために工夫したのが、この缶詰だという。

▲「ばり!うま!アイゴ?アヒージョ レモン味」(3缶で1,980円)※税・配送料別

▲岡山県産のアイゴを筆頭に、オリーブオイル、マッシュルーム、レモン、にんにく、食塩、唐辛子、乾のり、こしょう

こちらも、缶をあけた瞬間のビジュアルに惚れ惚れ…。

独特のくさみがあることも利用されにくい理由のひとつだというが、にんにくと、隠し味の青のり、レモンの香りでまったく気にならない。弾力のある独特の食感がクセになりそうなおいしさだ。

そのままでも一瞬で食べきってしまいそうなおいしさだが、素麺にからめても抜群においしかった。

「ブリの骨じゃん」ほど味の主張が強くないので、応用範囲が広そう。トーストの上にのせたり、ピザの具にしてみたいと、ワクワクした。

なぜ、「高校生×缶詰」限定で募集?

地方の高校生の「未利用魚をもっと食べてほしい!」という思いや、開発力の高さはわかった。だがなぜ、缶詰に限定しているのか。今の時代、冷凍食品やレトルト、フリーズドライのほうが、消費者に受け入れられやすいのでは?という素朴な疑問がわいてきた。もしかしたら、缶詰は他の加工食品に比べて、低予算でも作れるということなのだろうか。日本財団「海と日本PROJECT」LOCAL FISH CAN グランプリ 2023 運営事務局の長谷部航士(はせべ こうじ)氏に聞いてみた。

「缶詰が低予算で可能ということはありません。パウチ加工のほうが各段に安く、せっかく高校生が良い缶詰を作り、原価で販売しても1つ1,500円以上になることもあって、流通先との交渉がうまくいかなかったこともあります」(長谷部氏)

それでも缶詰に限定しているのには、いくつかの理由がある。最大の理由は、全国の水産高校では、カリキュラムに缶詰製作を取り入れている学校が多いこと。「今年で3年目ですが、1年目は参加校を集めることに奔走しました。水産高校の先生方は多忙を極めていまして、新しいチャレンジを敬遠される方も多いことから、授業でも取り扱っていて参加してもらいやすい缶詰開発になりました」(長谷部氏)。また最近は缶詰専門店が流行しているので、開発後の販売を視野に入れて缶詰にしたとのこと。

そもそも「LOCAL FISH CAN グランプリ」本グランプリは、日本財団が推進する、海を未来へつなぐためのプロジェクト、「海と日本PROJECT」一環として実施されているイベント。その中で、「LOCAL FISH CAN グランプリ」は、高校生が地域の課題魚であるLOCAL FISHを通じて、地元の海や地域の課題を学び、自分ごととして地域の未来を一緒に考えることを目的としている。商品開発をすることで、食品ロスの削減・水産資源の有効活用・地域経済の活性化・環境変化の対応に繋げ、持続可能な社会の実現に貢献できることを学べるというわけだ。

▲2023年大会の入賞作品と、出品高校 ※画像提供:日本財団「海と日本PROJECT」

「4年目を控えて、普通科高校の参加も多くなったことから、価格、加工、流通、どれをとっても、特に缶詰にこだわらなくてもいいのかもしれません。今後は、CAN=できるの意味で、パウチ等、缶詰以外の商品開発も可能にし、本グランプリをより拡大したいと考えております」(長谷部氏)

またエントリーから決勝大会までは、フェーズ1であり、決勝大会後はフェーズ2として、全国規模、地元レベル含めて、イベントや流通先を交渉し、実際に商品を流通させていく予定だという。過去の入賞作品も今後、商品化されて目に触れることがあるかもしれない。

▲同グランプリの2023年入賞缶詰。今後、販売される可能性も ※画像提供:日本財団「海と日本PROJECT」

取材・文/桑原恵美子

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