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ウェルビーイング、幸福学研究の第一人者・前野隆司慶応義塾大学教授に聞く「人や組織の成長と幸福の共存法」【前編】

2024.02.20PR

幸福の基礎となる4つの因子

D:確かに、高額な教材にお金を出したり、宗教や霊能者などに大枚をはたき、家族が不幸になってしまった例も報道されています。

前野さん:幸福になるのは、「継続して強化する」日々の鍛錬が大切なのです。まず大切なのは、基礎がため。幸福の基礎、すなわち「どんな人が幸せなのか」について解説しましょう。幸福の研究は1980年代から世界中の心理学者が行っており、細かいところまでわかってきています。

それらを統合した私の研究結果によると、幸せには4つの因子があり、「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」が強い人は幸せな人といえます。

「やってみよう」はやりがいや主体性、目的が明確であり高い成長意欲があること。

「ありがとう」は、仲間との間に信頼関係があり、利他的で貢献意欲があり、感謝の念が湧いてくる状態であること。

「なんとかなる」は、前向きで楽観的であること。リスクをポジティブに捉え、チャレンジする人はここに含まれます。

「ありのままに」は、人の目を気にせず、自分らしくいること。専門的には「本来感(オーセンティシティー)」といいます。人と自分を比較しすぎず、自分の個性や強みを磨き、本来の自分としての自信とともに働き、生きることを指しています。

この4つの因子を強くしていくことが、幸福の基礎固めにつながっていく。もし、あなたが今、幸せを感じていないなら、この4つの因子を高めるトレーニングをしてみてください。

その「基本のき」のひとつは、「機嫌がいい人を装うこと」です。人間は幸せそうに振る舞っていると、本当に幸せになるという特徴があるのです。

また、笑顔になるだけで、幸福度や免疫力が高まるという研究結果があります。姿勢も重要ですから、笑顔のまま顔を上げて胸を張り、体を開いてください。そうすると、脳が「私は元気で機嫌がいい」と勘違いし、実際にいい状態になっていきますよ。

そして、これを2週間は続けてみること。そのうちに定着してきて、物の考え方も変わってきますので、お試しください。

D:いつも機嫌がいい人に、いい仕事や人が集まって、個人の幸福のイメージもわかる。

しかし、環境は個人の意思とは関係がないことも多々あります。幸福な環境とはなんでしょうか。争いも嫉妬もない、平穏で退屈な世界なのでしょうか。

前野さん:そうではありません幸福な環境とは、各人が自分の良さや、自分が作ったモノやコトの良さを高めるべく切磋琢磨し、互いが尊敬し合い、競争もする世界ではないでしょうか。

そもそも、不幸と幸福は単に対極にあるものではありません。それはセットなのです。悲しみ、苦しみ、怒り、憎しみ、嫉妬などの不幸を乗り越え、成長をすることもまた、幸福です。つまり、不幸な状態は幸せのためのプロセスなのです。

困難な状況にあっても、幸せの「4つの因子」を強くすれば乗り越えられるという。後篇はその実践方法をより詳しく解説していく。

前野 隆司氏

(プロフィール)

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授
東京工業大学卒業、同大学修士課程修了。博士(工学)。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。2024年4月より武蔵野大学に新設された世界初のウェルビーイング学部の学部長を兼務する。専門は、幸福学、幸福経営学。

前野さんの新刊

幸せに働くための30の習慣: 社員の幸せを追求すれば、会社の業績は伸びる(ぱる出版)

取材・文/前川亜紀

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