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ウェルビーイング、幸福学研究の第一人者・前野隆司慶応義塾大学教授に聞く「人や組織の成長と幸福の共存法」【前編】

2024.02.20PR

ビジネスシーンで幸せに働くことが注目されている。しかし、実際に現場で仕事をしている人の中には、ノルマと時間に追われ、経費削減を迫られた上に、正当に評価されないなどという、不満と不安を抱えている人も多い。加えて、人や組織の成長には痛みを伴う。苦痛と幸福は対極にあるのではないだろうか。

「幸せに働く」ことははたして実現できるのだろうか。この問題を日本における「ウェルビーイング※」や「幸福学」研究の第一人者である慶応義塾大学教授・武蔵野大学教授の前野さんに伺った。

※身体的・精神的・社会的に良好な状態。特に、社会が充実し満足できる生活状態にあること

ロボットの研究から幸福学の探求へ

DIMEWELLBEING(以下D):前野さんは、「20〜30代はAI技術やロボットの研究と開発をしていました」とおっしゃいます。当時は、科学技術を進化させ国の力を強くし、豊かで幸せな社会にしたいと考えていたそうですね。

前野さん:私はかつてロボットの研究をしていました。ロボット研究の目的は2つあり、「人間社会を便利にするため」と「人間を理解するため」です。前者は、家事ロボット、産業ロボットなど生産性への貢献が期待される分野です。

私が研究対象としたのは主に後者で、人に似せたロボットを作り、人間のように笑ったり喜んだりするロボットの心のアルゴリズムを作りながら、人間の感情を理解するという研究を重ねてきました。

その結果、笑うロボットはできたんです。でも、それは「笑っているというレプリカ」だから、虚しい。ロボットが笑うのは、心から楽しいからではなく「そう反応しているだけ」。つまり、楽しさのレプリカなのです。この時、人間理解のためのロボット研究は、人間の偽物づくりでもあると感じました。

偽物の幸福ではなく、本物の幸福のメカニズムはなんだろうかと、私は幸福の研究をするようになったのです。それに私は子どもの頃から「幸せとはなんだろうか」と考えていました。哲学書や心理学の本を読み、そのことを常に考えていたのです。幸福とは表層的なものではなく、もっと深く、豊かなものなのではないかと考えるようになりました。

幸せになることは、筋トレと似ている

D:社会が成熟するほど、ルールは複雑化しています。同調圧力の前では、相手が何を言っても、楽しそうに振る舞い、愛想笑いをしてばかりいる人も多い。これは人間のロボット化ともいえます。

前野さん:そこまで、言い切らなくてもいいとは思いますが(笑)、ある程度、個人の部分を犠牲にしないと、社会は回らなくなっている面もあります。

では、ここから幸福のメカニズムについて解説しましよう。

そもそも、人間は、個性的で繊細な心を持っています。ですから、幸福も多様で「あなたにとって幸福はなんですか?」と質問されたら、お金があること、安定した生活、肌の調子がいいこと、仲間とワイワイ飲むここと、一人で本を読むこと……十人十色な答えが返ってくるでしょう。

幸福の形はバラバラだからこそ、私は「誰もが共有できる統合された幸せのイメージがある」と考え、それを体系化する幸福学の研究を始めました。その統合イメージを、明確にして共有できれば、もっと人は幸せになるのではないかと思ったからです。

多様なものほど、基礎を理解し、いいバランスで知識と実践を両立させれば、成り立つということがつかめると同時に、幸福とは、自ら鍛えた上で、維持できるものだと確信したのです。

幸福な状態を維持することは、筋トレに似ています。体を鍛えたいと思ったら、筋肉の特性や構造を理解し、自分の目的と目標を設定します米。そしてそこに向かいコツコツと正しいトレーニングを行い、鍛え続けていく。筋トレは、間違ったやり方をすると、ケガをしてしまいますが、これは幸福も同じです。

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