エリア復旧以外の災害対策も
石川氏:あと、ソフトバンクは災害時でも品質をチェックしていたと説明していましたね。ユーザーの体感を見ていたそうなので、違いは出ていたかもしれないですね。電波は入るけれど全然データが流れてこないところと、サクサク流れるところと。
石野氏:災害時もパケ詰まりはやはり気になるんだなと思いました。でも、ソフトバンク側の説明は真っ当というか、避難所ではみんな、普通に通信したり動画を見たいだろうし、確かにパケ詰まりしたら困るよなとは思いました。
石川氏:素晴らしい。
法林氏:あと、ソフトバンクが出資しているWOTAの「WOTA BOX」。あれは良かったと思う。水の再生システムを提供している会社で、使った水を再生してきれいにして、シャワーボックスでシャワーが使えるようにしていた。まぁ、ソフトバンクは単純に資金を出しただけっていう説もあるけれど、ちゃんと貢献できていたのは良いことだと思いました。エリア以外の話でいえば、1番目立ったし効果があった。被災者にも相当喜ばれたと思う。いろんな災害を経験して、今や各キャリアとも新しい災害支援の仕組みをやってるので良かったなと思う。
石野氏:スマホと衛星のダイレクト通信が、今後の災害対策で欲しいと思いました。
石川氏:今回の災害でニーズが明らかになった。
法林氏:東京にいると、どこかしらにつながるから、必要だと考えないかもね。だけど、能登半島に限らず、地方で基地局が倒れて全然どこも通じない状態になった時に、衛星一発で通信できるようになるのは、とても役立つと思う。各社対応しなきゃいけないんだけれど、Starlinkがアメリカの会社いう点をどうするか。
石野氏:アメリカの会社という以上に、イーロン・マスク氏の会社ってことのリスクはあるなぁ。
石川氏:とはいえ、Starlinkに対抗できるところがあるかといったら、正直、今はないですからね。そこが課題になってしまっているかな。
石野氏:安全保障上の課題でもありますよね。
法林氏:最近はスカパーJSATに統一されちゃったけど、日本って通信や放送のための衛星をいくつも打ち上げてきた実績があるし、開発力もかなり高い。継続していたなら、Starlinkみたいなものが日本でもできたかもしれない。ただまぁ、国土が縦に長いし、色々大変だと思いますけれど、そういうことも含めてインフラについて考えさせられますね。
石川氏:一般のユーザーが通信回線を2種類使えるなら、それが理想的ですけれど、大切な人とは複数の連絡手段を持っておくことが大事だと思います。災害時にLINEがダウンしてしまう可能性はゼロではない。東京で大地震が起きた時に、みんながみんなLINEを使い始めたらアクセスが集中してダウンすることも十分あるので、LINE以外にも連絡手段を持っておいた方がいいかなと思います。
法林氏:SNSのMessengerとか+メッセージとか、使えるようにしておくといいと思います。
……続く!
次回は、年末に駆け込み需要も発生したスマホ販売の現状について会議する予定です。ご期待ください。
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。
構成/中馬幹弘
文/房野麻子