3. 【2024年4月施行】民法改正により女性の再婚禁止期間が廃止される
2024年4月1日に施行される改正民法により、女性の再婚禁止期間は廃止されます。男女平等の観点から、女性だけに再婚禁止期間を設けることの問題点が長らく指摘されていたことを受けての改正です。
再婚禁止期間を廃止する場合、嫡出推定の重複を別の方法によって回避する必要があります。今回の民法改正では、嫡出推定の規定を以下のように変更することで重複の回避が図られました。
<変更前>
・婚姻の成立日から200日を経過した後、または婚姻の解消・取消しの日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定される(=夫の子と推定する)
<変更後>
・婚姻成立後に生まれた子は、現夫の子と推定する
・懐胎時から子の出生時までの間に女性が2以上の婚姻をしていたときは、出生の直近の婚姻における夫の子と推定する
上記のとおり、婚姻成立後に生まれた子は一律で現夫の子と推定され、前夫の子とは推定されなくなりました。
すなわち、嫡出推定の重複が生じ得なくなったため、再婚禁止期間の廃止が可能となりました。
なお従来は、現夫との子を再婚後300日以内に出産した女性が、前夫の子と推定されるのを避けるために出生届を出さない事例が多発していました。この場合、子どもが無戸籍となり、行政サービスの享受などに関して支障が生じてしまいます。
婚姻成立後に生まれた子を一律で現夫の子と推定する改正は、無戸籍児童問題の解決にも資すると考えられます。
4. まとめ
再婚禁止期間の廃止によって、2024年4月1日以降、女性は離婚後すぐに再婚することができるようになります。男女平等や無戸籍児童問題の解決に大きく前進した重要な改正といえるでしょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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