コロナ禍以降、ゾンビ企業が増加している。企業倒産(2023年=8497件)の約30倍まで膨れ上がった企業の“ゾンビ化”が進んだ要因のひとつに、実質無利子・無担保のゼロゼロ融資が挙げられる。
2022年9月末時点で約245万件、実行額約43兆円にのぼる資金がコロナ禍で中小企業の資金繰りを支えた半面、足元ではコロナ支援策の反動が顕在化しつつある。なかには、業績改善できないまま事業継続を断念する企業も目立つ。
帝国データバンクは、これまで2022年7月、8月、12月、2023年1月と、ゾンビ企業(※)の実態をレポートしてきた。そして今回、2022年度のデータをもとにした、最新動向をまとめたレポートを発表した。
※ ゾンビ企業の定義は、国際決済銀行(BIS)が定める「ゾンビ企業」の基準に準拠
ゾンビ企業率17.1%に急上昇、過去最大の上昇率
国際決済銀行(BIS)が定める「ゾンビ企業」の基準である「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立10年以上」の定義に基づき、2022年度のゾンビ企業率を算出した。
帝国データバンクが保有する企業財務データベース「COSMOS1」(2023年11月末時点)において、2022年度の財務データが判明している「3年連続でICRが判明、かつ設立10年以上」の企業は10万1478社あった。
このうち、「3年連続でICRが1未満、かつ設立10年以上」の企業は1万7387社を数え、この2つの数値をもとにゾンビ企業率を算出すると17.1%にのぼることが判明した。
2007年度以降のゾンビ企業率の推移(下グラフ)をみると、2019年度の10.0%から、コロナ禍で上昇傾向を示していることが分かる。2020年度は11.6%、2021年度は13.5%となり、さらに直近1年で3.6ポイント上昇した。上昇率は調査開始の2007年度以降で最も大きかった。
さらに2022年度の17.1%は過去10年間で最も高く、東日本大震災後の2012年度(17.0%)と同水準。この結果、日本企業全体の約6社に1社で、企業の“ゾンビ化”が進んでいるとの見方もできる。
業種別では「小売」、地域別では「東北」がゾンビ企業率トップ
2022年度のゾンビ企業率を業種別にみると、「小売」が27.7%と最も高かった。次いで、「運輸・通信」が23.4%、「製造」が17.8%で続いた。2021年度に比べると、全業種でゾンビ企業率が高まっており、これら3業種は全体平均の17.1%を上回った。
従業員数別では、「5人以下」が25.1%で最も高く、「6~20人以下」が18.7%で続いた。他方、「1000人超」は2.8%と最も低く、総じて従業員数が少なくなるにつれて、ゾンビ企業率が高まる傾向にある。
地域別では、「東北」(21.3%)と「中国」(20.2%)がそれぞれ2割を超えた。なかでも「東北」は、東日本大震災後の各種金融支援策の影響もあり、震災から10年経った今もなお借り入れ負担が重荷になっている。
他方、「関東」(14.8%)が最も低く、とりわけ「東京」は12.9%と都道府県別で最も低い水準となった。