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栄養食のBASE FOODがカビ問題で業績に急ブレーキ、局地戦に強みを持つスタートアップの弱点

2024.02.16

「BASE」の名前で親しまれている栄養食の開発・販売を行うベースフードの業績に急ブレーキがかかりました。

2023年3Q(9-11月)の売上高は、34億5,000万円。前四半期比で2割以上減少しました。売上急減の主要因が、商品にカビが発生したことによる一部商品の自主回収の実施。2023年10月23日まででおよそ76万個を自主回収し、製造中止等の措置をとりました。

ベースフードは2022年11月に上場したばかりの会社。失速からの回復は容易ではありません。

BASE FOODシリーズの累計販売数は1億5千万袋を突破(2023年9月時点)

資金調達環境が悪化した状態での上場

1月15日に2024年2月期通期の業績予想の修正を発表しました。売上高を従来予想よりも11.4%低い151億4,300万円に改めました。実に20億円もの開きが生じることになります。

通期で4億2,700万円の営業損失を予想していましたが、10億9,900万円へと損失額は2倍以上に広がることになります。

決算短信より筆者作成

カビの発生によって株価は急降下しています。2月9日の終値は409円。ベースフードの公募価格は800円です。半分程度まで下がってしまいました。

公募価格は想定発行価格950円を下回る金額で設定されていました。しかも、上場前の資金調達時の評価額よりも価値が低いダウンラウンドIPOでした。更に初値は公募価格より1割安い710円。上場を取り巻く環境は非常に厳しいものでした。同時期に上場したnoteも大幅なダウンラウンドIPOでしたが、この時期はアメリカの急速な利上げなどを背景として、スタートアップの資金調達環境が急速に悪化した時期でした。

上場後、ベースフードの株価は上がり始めていました。2023年10月16日には一時818円の高値をつけています。ベースフードは同時期に上半期の業績発表をしています。その内容がポジティブなものだったのです。

食品業界と切っても切れない自主回収

下の図は四半期ごとの売上高の推移。2024年2月期1Qは40億円近くまで急上昇し、2Qは40億円を突破しています。

決算説明資料より

ベースフードは自社のECサイトと、コンビニ・ドラッグストアなどの小売チャネルの販売を強化していました。その取り組みが奏功し、自社ECが1.6倍、小売は2.8倍にまで売上が拡大していました。更なる増収が見込める中で、カビ発生という最悪の事態が起こってしまいます。

食品の自主回収自体はさほど珍しいものではありません。2023年5月にイオンが冷凍チャーハンに樹脂の破片が入ったとして3万個を自主回収しています。明治も同年11月に牛の感染予防に使われる動物用医薬品が含まれている可能性が否定できないとして、ヨーグルトを11万7,000個回収しました。

ベースフードは、基本的にフジパンや伊藤製パンなどの工場に製造を委託しています。カビが発生したのは、リョーユーパン唐津工場でした。自社で製造管理を行っているわけではないために品質コントロールを行うのが難しく、製造元に任せているというのが実情でしょう。

しかし、消費者がそのことを理解してくれるわけではありません。ベースフードは「健康」を押し出して商品の差別化を図ってきました。カビの混入はブランドイメージを毀損する可能性があります。

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