YouTubeは同社CEOのニール・モーハン氏による、今年注力する4つの分野についてまとめたブログを公開した。4つの分野とは、以下のとおり。
1)人間の創造性を強化するAI
2)次世代の制作スタジオとして認識されるべきクリエイター
3)YouTube の次なる開拓地、リビングルームと定額制サービス
4)基盤となるクリエイター エコノミーの保護
本稿では、その概要をお伝えする。
1)人間の創造性を強化するAI
YouTube は、何年も前にYouTube を立ち上げたときと同じ使命を持っ たAIの進歩に取り組んでいる。AIは人間の創造性に取って代わるものではなく、人間の創造性をサポートするものであり、そして誰もが創造的な表現の限界を押し広げられるような AI ツールにアクセスできるべきだと考える。
YouTube は昨年、こうした革新に向けた意欲を形にする新しい AIの試験運用を発表した。
それがAI が生成した動画や画像の背景をショート動画に追加できる新機能 Dream Screen (日本未導入)や、音楽分野における AI の可能性を探る最初の試験運用の一つである Dream Track (米国のみ)が、それに該当する。
今年も、クリエイティブ業界との連携やAIを活用した機能の展開を通じて、AI が創造的な活動をサポートできるように引き続き取り組んでいくとともに、適切な保護機能を構築しながら機会を開拓していく。
2)次世代の制作スタジオとして認識されるべきクリエイター
クリエイターは真の起業家であり、クリエイターがYouTubeで収益を得られる方法を多様化できるようサポートしている。
YouTube は、「商品の紹介」機能により視聴者の商品購入のサポートをしつつクリエイターが収益化(英語)できるようにも投資を続けている。
また、視聴者はチャンネル メンバーシップなどの視聴者ファンディング機能を通じて、お気に入りのクリエイターを直接サポート。メンバーシップを利用するクリエイターの数は昨年 50% 以上増加し、クリエイターは視聴者ファンディングのインパクトを実感している。
今年は、クリエイターがもたらす経済的価値およびエンターテインメントとしての価値を業界の政策立案者やパートナーにより理解してもらえるよう、サポートしていく予定。
クリエイターは世界中の視聴者を相手にするフルタイムの仕事だが、ほとんどの政府は自国の労働データにおいてクリエイターの存在を考慮していない。
クリエイターの仕事は認識されるべきであり、各分野のトップに位置するクリエイターは主要な業界フォーラムで認められて然るべきだと考えている。
3)YouTube の次なる開拓地、リビングルームと定額制サービス
あらゆるコンテンツを 1 か所にまとめて観たいと思う人が多くなっている。私たちがかつて友人や家族と一緒に従来のテレビ番組を観ていたように、自宅の大きなテレビ画面で一緒に YouTube を見ている。今では、世界中で YouTube のコンテンツが毎日平均 10 億時間以上テレビ画面で視聴されているという。
実際、米国のストリーミングに関する Nielsen のレポートによると、過去 11 か月間にストリーミング総再生時間が最も多いプラットフォームは YouTubeだった。
YouTube の定額制サービスについても反響が高まっている。YouTube TV(米国のみ)の登録者数は 800 万人を超えた。YouTube Music と YouTube Premium の総メンバー数もトライアルも含めて 1 億人を超えている。
YouTube Music の定額制サービスは、Coachella 関連情報への先行アクセスから、 NewJeans、Dua Lipa、Tate McRae などの YouTube ショートチャレンジまで、アーティストがファンとつながるための最高の場所になるという YouTube の目標達成にも貢献している。
今年も、定額制サービスとリビングルームでの YouTube視聴という、最高の体験を提供していく。
4)基盤となるクリエイター エコノミーの保護
以上の優先事項に取り組むなかで YouTube が最も大切にしていることは、責任を持って YouTube コミュニティを保護することだ。
ストリーミング サービスとしての私たちのビジネスは、エンゲージメントだけでなく、視聴者や広告主に、YouTube には高品質のコンテンツがあることを理解してもらい、信頼してもらえるかにかかっている。
クリエイター エコノミーを保護することは YouTube のすべての取り組みの基盤であり、ビジネスにとっても望ましいことだ。
新しい課題が生じると YouTubeは迅速に進化して適応してきた。生成 AI によってディープフェイクの巧妙さが増しているなか、新たな問題が提起されるたびに、YouTubeは同様に迅速に取り組んでいる。
合成によって生成されたコンテンツには既存のすべてのポリシーを適用するだけでなく、透明性と保護設定の新しいレイヤーも追加していく。
たとえば、今後数か月以内に、実物然としたコンテンツを目にしている視聴者に対し、それが合成であると知らせるラベルが導入される予定だ。
関連情報
https://youtube-jp.googleblog.com/2024/02/letter-neal-our-2024-bets.html
構成/清水眞希