副業で損失がでたときに、その所得が損益通算できる事業所得に該当するか、それとも損益通算できない雑所得に該当するかは大きな問題だ。その区分は曖昧な部分もあり、明確にするために国税庁から通達が出た。
副業で給与所得と損益通算できる?
会社員が副業をしているとき、その副業の【収入-必要経費】が赤字となったとき、給与所得と損益通算して所得金額を下げて、税金を軽減したいと考える人もいるだろう。
給与所得と損益通算できる所得の損失は以下のように限られている。
(1)山林所得
保有期間5年超の山林を伐採または譲渡
総収入金額-必要経費=赤字
(2)譲渡所得
総収入金額-(取得費+譲渡費用)=譲渡損
※モノに限る(例)骨董品、宝石、貴金属地金の売却など
※譲渡益の場合、50万円を特別控除でき、まずは総合短期、控除しきれない場合は総合長期から控除できる。
※5年以内の保有で総合短期、5年超で総合長期に分かれ別々に計算後、総合短期と総合長期で損益通算後の損失を他の所得と損益通算できる。また、損失が長短ともにある場合は短期の損失から損益通算可能。自分が作成した著作権や特許等は5年以内でも長期となる。
※衣服や家具、通勤用自動車などの生活に必要なもの、価額が30万円以下の貴金属や骨董品等は、売却益が非課税だが、損失は損益通算不可。(例)フリマアプリで生活用品等の売却等は非課税
※ゴルフ会員権の損失は損益通算不可。
(3)事業所得
総収入金額-必要経費=赤字
(4)不動産所得
総収入金額-必要経費=赤字
※損益通算するときに土地の取得にかかる負債利子の赤字部分は損益通算できないことに注意。通常は必要経費に計上可能だが、赤字になる場合は以下の計算式で出る土地部分の負債利子を損益通算する赤字部分から控除しなければならない。
なお、マンション等で土地と建物ともに購入したときのそれぞれの金額は譲渡対価証明書に記載されている。
このように、給与所得と損益通算できる所得は限られており、上記以外の雑所得、一時所得、譲渡所得(土地・建物、株式)等は給与所得と損益通算することができない。