幸福の4因子とは?2つの因子にチョコレートが関わっている
(左)オンラインで登壇した慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授 前野隆司さん/ロッテ「ちょこっと幸せ研究所」責任者 中村準さん。
チョコレートに含まれるポリフェノールによる健康効果が検証され始めた2010年以降、健康を意識してチョコレートを食べるという新たな行動が生まれている。健康になることもWell-beingのひとつといえるが、おなかを満たすだけでは、牛膓社長の「ココロの幸せが最も大事」という部分を満たすことができない。
とはいえ、ココロの幸せをどのように定量化するのかが課題となる。発表会では、ウェルビーイングの第一人者である慶應義塾大学大学院の前野隆司教授と、「ちょこっと幸せ研究所」責任者の中村準さんによるトークセッションで興味深い話があった。
幸福の4因子のうち、2つの因子にチョコレートが関わっているという。
前野教授が説く幸福の4因子には、目標を達成しようとする「やってみよう」因子、他者に感謝をする「ありがとう」因子、楽観的に物事をとらえる「なんとかなる」因子、自分らしく在る「ありのままに」因子がある。
「長続きしない幸福感には〝お金やモノ〟などがあり、長続きする幸福感には〝心やカラダの健康〟があります」(前野教授)
確かに、やっと手に入れたお気に入りのモノがあったとしても、健康以上に長続きする幸福感は得られないだろう。
そして、幸福の4因子を持つ人は、幸せを感じやすいという。とはいえ、なかなか4因子が揃わないと感じることもある。そんな時に、チョコレートを食べることで、ありがとう因子やなんとかなる因子に作用し、幸福度アップにつながる可能性があるそうだ。
「チョコレートを一口食べて、もう少しがんばろうと思えますし、持っているだけでもワクワクする気持ちになれます。チョコレートを渡す文化でも幸福度がアップする可能性があることがわかっています」(前野教授)
シェアすることで、みんなが笑顔になる力を秘めているチョコレート。言われてみれば、他のお菓子をもらった時より、チョコレートをもらった時のほうが、気持ちが上がる気がする。ちなみに、チョコレートを食べている人のうち幸福度が高い人は、2~3日に1回以上、朝からランチまでの間、仕事の合間に食べている傾向があるそうだ。さらに、「幸せな気分の時に食べる」人が多いのだとか。次回からは、幸せな気分の時に食べてみることにしよう。
幸福な国の消費量に見る〝チョコレートの不思議な力〟
「チョコは、おなかだけじゃなく、心も満たしてくれます」と話すのは、「ちょこっと幸せ研究所」責任者の中村準さんだ。
というのも、ロッテのお客様相談室には、チョコレートに関するポジティブなメッセージが寄せられるという。相談室への連絡といえば、クレームが多いだろうし、おいしいと思ってもわざわざ連絡まではしない。作り手に伝えたくなるのは、その気持ちを飛び越えて感動した時だ。チョコレートは、それほど心を動かす存在ということだろう。
「世界の幸福度ランキングが高い国では、たくさんチョコレートを食べています。幸福度ランキング62位の日本は、年間で2.1kg。ガーナチョコに換算すると42枚です。1位のフィンランドは、ガーナチョコ158枚分の年間7.9kgを食べています。先日、3位のスイスに行ってきたんですが、チョコレートショップがとても多いんです。食べるだけでなく、チョコレートドリンクやパンにも塗ります。食文化のひとつなんですね」(中村さん)
ちなみに、スイスの年間チョコレート摂取量は、9.3kg。幸福度の高い国の摂取量を考えると、チョコレートにはやはり不思議な力がありそうだ。
昔は高級品だったチョコレートは、今でも特別なギフトとして贈ることが多い。「ちょこっと幸せ研究所」では、チョコレートがウェルビーイングにどのようにかかわっているのかを探求し、結果を公開していくそうだ。他社をライバルとしてとらえるのではなく、チョコレートを届ける仲間として市場を広げていきたいと考えている。
チョコレートの仕事がしたくてロッテに入社したという中村さんは、「経済的価値のほか、幸福度の低い日本を、前向きでハッピーな国にしていくことに貢献できたらと思っています」と、語ってくれた。
同研究所では、愛らしいキャラクターの「ぐうちょこ」も登場し、今後SNSなどで情報発信も行なわれる。バレンタインが盛り上がるのは、チョコレートの不思議な力も手伝っているのかもしれない。
ロッテ「ちょこっと幸せ研究所」
ロッテ「ちょこっと幸せ研究所」公式Xアカウント
取材・文/林ゆり