国内で採用活動にAIを活用している企業は約3割
外資系人材紹介会社のヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(以下ヘイズ)は、採用における生成AIの利用状況について調査を実施。先日、その結果を発表した。
世界のCEOは生成AIの力を活用することに熱心だが、採用における活用はまだ初期段階にある。そこでヘイズでは、日本の人材1554名と企業328社に採用における生成AIの利用状況について調査を実施。
日本では、16.2%の企業が採用プロセスでAIを最低限しか使用しておらず、18.8%は今後1年以内に検討すると回答。51.5%は採用プロセスでAIをまだ使用する予定はないと答えた。
採用活動でAIを利用している企業の上位3つの用途は以下のとおり。
・34.2%……面接の日時設定と調整
・34.2%……候補者の適性に関する予測分析
・27.8%……書類選考や候補リストの作成
人事担当者の過半数(68.8%)が業務遂行に役立つAIツールの利用を支持しているにもかかわらず、そのうち29.6%のみが自分たちの組織が近い将来起こりうるであろう変化に備えるためにAIを導入していると答えている。
■標準的な規制の枠組みがないことがAIの活用を逡巡させる
AIの活用をためらう背景には、標準的な規制の枠組みがないことが挙げられる。
企業が、この隔たりを埋めるために対応していくべきことは多くある。39.6%はAIによる書類選考は偏りがある可能性があり、活用する前に対応が必要であると考えている一方で、40%は偏りがある可能性があるが、対処していると考えている。
日本のこの結果は、多くの中国の回答者が偏りに対処できていると考えているのとは異なっている。
また、ヘイズの調査によると、採用にAIを使用している企業の21.5%がAI採用ツールの偏りをポジティブに評価していない一方、人事担当者の77.6%が上司や企業からAIツールの使用に関する方針を受け取っていないことがわかった。
今回の調査結果を受けてヘイズ・アジアのマネージング・ディレクターを務めるマーク・ブラジ氏は次のように述べている。
「企業は、採用におけるAIの導入の増加に備えて積極的な役割を果たす必要があります。これには、ベンダーに内在するバイアスを密接にモニタリングし、ASEANレベルで取り組まれている倫理的配慮を検討することが含まれます。
企業は、このような戦略的かつ国際的な協力を活用することで、現地レベルで採用するために必要な枠組みを継続的に構築することができます。
これは、特に採用や転職活動のプロセスにおけるAIの活用に対する従業員と求職者の期待を考慮すると、包括的な採用における信頼を得るために非常に重要です」
調査概要
調査期間/2023年9月~11月
調査機関/自社調査
調査方法/インターネット
回答者/日本の人材1554名
関連情報
http://www.hays.co.jp/index.htm
構成/清水眞希