仕事の満足度について「満足」と答えた割合が最少だったのは40代
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げるパーソルホールディングスから、「はたらく」を考える全国就業者データベース「はたらく定点調査」が公開された。
本稿では同調査より「各年代の仕事満足度」に関する内容を一部抜粋してお伝えしていく。
■仕事全体の満足度
「仕事全体の満足度」について、「満足」と答えた割合が最も少なかった年代は40代で44.4%という結果だった。
一方で、「満足」と答えた割合が最も高かったのは10代で68.0%、次に高かったのは60代で58.9%だった。若年層が高く、ミドル層になるにつれて低下し、シニア層になって回復する傾向が見られた。
■仕事内容への興味に対する満足度
「仕事の内容に興味が持てること」について、「満足」と答えた割合が最も少なかった年代は40代で45.6%という結果だった。
「満足」と答えた割合が最も高かったのは10代で63.2%、次に高かったのは60代で57.0%となっている。若年層が高く、ミドル層になるにつれて低下し、シニア層になって回復する傾向が見られた。
仕事の裁量に対する満足度
「仕事の裁量(自分に任されている範囲)が適切であること」について、「満足」と答えた割合が最も少なかった年代は40代で47.1%という結果だった。「満足」と答えた割合が最も高かったのは10代で67.0%、次に高かったのは60代で59.9%という結果に。
若年層が高く、ミドル層になるにつれて低下し、シニア層になって回復する傾向が見られた。
■仕事の忙しさに関する満足度
「忙しさが適切であること」について、「満足」と答えた割合が最も少なかった年代は30代、40代でいずれも40.8%という結果だった。
「満足」と答えた割合が最も高かったのは10代で57.3%、次に高かったのは60代で55.0%と、若年層が高く、ミドル層になるにつれて低下。シニア層になって回復する傾向が見られた。
■経験・能力の活用に対する満足度
「経験・能力が活かせる仕事があること」について、「満足」と答えた割合が最も少なかったのは40代で42.8%だった。
「満足」と答えた割合が最も高かったのは60代で56.5%、次に高かったのは10代の54.9%。こちらも若年層が高く、ミドル層になるにつれて低下し、シニア層になって回復する傾向が見られた。
■キャリア・方向性に対する満足度
「自分のキャリア・方向性と合った仕事ができること」について、「満足」と答えた割合が最も少なかったのは40代で34.7%だった。一方で、「満足」と答えた割合が最も高かったのは10代で53.4%、次に高かったのは60代で47.3%。
やはり若年層が高く、ミドル層になるにつれて低下し、シニア層になって回復する傾向が見られた。
調査結果まとめ
パーソル総合研究所 研究員 金本 麻里 氏
仕事への満足度が40代で最低水準になることは、多くの調査データからよく知られている。本調査のデータからは、特に「自分のキャリア・方向性と合った仕事ができること」への満足度が20代と比べ約10ptも低く、40代で思い描くキャリア通りの仕事ができる人の少なさが推察できる。
そもそも40代は「中年の危機」と言われるように、人生においてもキャリアにおいても、それまで登り調子だったものが変化することで、考え方の転換を迫られる時期とされる。加えて、日本の雇用環境は、伝統的に会社主導の異動が行われてきたため、他社でも通用するような確固たる専門性を持てず、かつ自分なりのキャリアプランを考える機会もなく40代になった会社員も多い。
最近では会社主導の異動に従っていれば老後も安泰という時代ではなくなってきた。自らキャリアを模索し、将来設計をしようとする40代が増えていると考えられる。45歳以上の転職者数は、2010年から2020年にかけて145%と増加した。40代からのキャリアについて、動向を注視する必要がありそうだ。
調査概要
調査方法/オンライン
調査時期/2023年3月
調査対象/15歳から69歳の男女、本業または副業ではたらいている人
調査人数/10万人
関連情報
https://www.persol-group.co.jp/
構成/清水眞希