ソニー生命保険は、横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院 相馬 直子教授およびブリストル大学(英国) 社会学・政治学・国際学研究科 山下 順子上級講師両名と協同で「ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。同調査は今回で4回目となる。本稿では、その内容を一部抜粋してお伝えする。
『ダブルケア』という言葉の認知率は20%
“子育て”と“親(または義親)の介護”が同時期に発生する状況を『ダブルケア』と呼ぶ。
まず、今回の調査対象であるダブルケアラー(ダブルケアに現在直面している、もしくは過去に経験した人)を抽出するために、全国の大学生以下の子ども(自身が世話をしている子どもを含む)を持つ30~59歳の男女1万6926名に、『ダブルケア』について認知状況を聞いた。
図1
大学生以下の子どもを持つ30歳~59歳の男女(1万6926名)に、『ダブルケア』という言葉を聞いたことがあるかどうか聞いたところ、「ある」が20.2%、「ない」が79.8%となった。(図1)
図2
ダブルケアという言葉を聞いたことがある人の割合は、男性19.2%、女性21.1%で、男女・年代別にみると50代女性(21.9%)が最も高くなり、男性(30代21.6%、40代19.0%、50代17.0%)では年代が上がるにつれて低くなる傾向がみられた。
過去の調査結果と比較すると、全体では、2017年12.7%→2018年17.5%→2023年20.2%と上昇傾向が明らかに。40代男性では5.2ポイント上昇(2018年13.8%→2023年19.0%)している。(図2)
■男性21%、女性24%が「数年先に『ダブルケア』に直面する見込みがある」
図3
数年先にダブルケアに直面する見込みがあるかどうか聞いたところ、ダブルケアに直面する見込みがある人の割合は、全体では22.5%となった。
男女別にみると、男性では21.4%、女性では23.5%となり、男性について年代別にみると、30代男性22.6%、40代男性22.1%、50代男性19.2%と、30代男性と40代男性が50代男性より高い結果だった。(図3)
■ダブルケアラーの42%が「子どもの頃から家族の世話をすることが多かった」
図4
ダブルケアに現在直面しているもしくは過去に経験した全国の30歳~59歳の男女1,000名(全回答者)に、子どもの頃から家族(兄弟姉妹・親・祖父母等)の世話をすることが多かったか聞いたところ、「多かった」は41.5%、「多くはなかった」は58.5%という結果が得られた。
世話をすることが多かったと回答した人の割合は、男性では46.4%と、女性(36.6%)と比べて9.8ポイント高くなり、年代別にみると若い年代ほど高い傾向がみられ、30代では56.6%だった。 (図4)
図5
子どもの頃から家族(兄弟姉妹・親・祖父母等)の世話をすることが多かったと回答した人(415名)に、子どもの頃から家族の世話をすることで、自身の学業・進学・就職等に影響が出たと感じているか聞いたところ、「感じている」は56.1%、「感じていない」は43.9%だった。
家族の世話のために、学業を計画どおり修めることができなかった人や、進学や就職といった機会で進路を自由に選択できなかった人がいるのではないか。
影響が出たと感じている人の割合は、男性では66.8%と、女性(42.6%)と比べて24.2ポイント高くなり、年代別にみると40代(65.4%)が最も高い。(図5)