M&A仲介業を展開するストライクはこのほど、「M&Aの件数・金額の年別推移」と「2023年 M&A 金額上位TOP30」を発表した。
2023年のM&Aは件数、金額(適時開示ベース)ともにまれにみる活況を呈した。総件数は1068件と3年連続で増加し、リーマンショック前年の2007年(1169件)以来16年ぶりに1000件の大台に乗せた。年間金額は前年比78%増の12兆1786億円(公表分を集計)だった。
アフターコロナ到来、ギアが一段と上がる
国内のM&A市場は2020年以降のコロナ禍の逆境下、非中核事業の売却が活発化したことなどで、むしろ勢いづく展開だったが、アフターコロナの到来に伴う経済活動の正常化に合わせて2023年はM&Aへのギアが一段と上がった形となった。
月別で前年を下回ったのは2月と9月だけで、3、11、12月は月間100件を超えた。なかでも12月は122件と、単月として2007年3月(153件以来)以来の高水準を記録した。
日本製鉄、東芝だけではない 超大型案件が続出
金額面では1兆円、あるいはこれに迫る超大型の案件が続出した。日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収、東芝の非公開化がそれぞれ2兆円規模に達したのをはじめ、9000億円台、8000億円台、7000億円台、6000億円台が各1件で続いた。
自らM&A対象となった東芝に対しては8月から9月にかけて国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)がTOB(株式公開買い付け)を行った。東芝はJIPの傘下で経営を立て直し、再上場を目指す。
トップ10にMBOが3件ランクイン
金額トップ10には3位に半導体材料大手のJSR、6位に半導体パッケージ大手の新光電気工業をめぐるTOB案件が入り、総額は順に9000億円、6000億円規模に上る。注目されるのは両案件でTOBを行うのは官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)という点で、半導体産業の復活を目指す政府の方向と軌を一にする。
また、2023年はMBO(経営陣による買収)の巨大化が顕著となった。金額トップ10に大正製薬ホールディングス、アウトソーシング、ベネッセホールディングスの3件がラインクインした。なかでも大正製薬のMBOは総額7000億円超と国内最大だ。
出典元:株式会社 ストライク
構成/こじへい