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ビジネス文書を作成する際や式典に参加する際には、周囲に不快な思いをさせたり、自身が恥をかいたりしないためにも基本的なマナーを覚えておく必要がある。「敬称略」に関するマナーもその一つだ。
敬称を省略することを意味する言葉だとはわかっていても、そもそもどのような場面で敬称を省略するのかを知らない方もいるだろう。
そこで本記事では、「敬称略」の意味と、使用時の注意点を解説する。「敬称略」の類語や英語表現も、ぜひこの機会に確認しておこう。
敬称略とは
「敬称略」の読み方は「けいしょうりゃく」。名前の敬称を省略することを意味する言葉だ。
そもそも「敬称」は、相手に対する敬意や尊重を表現するための言葉や言い回しのこと。例えば、「さん」や「様」が一般的である。これらの敬称を使うことで、相手に対する丁寧さや尊重を表現することができ、コミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。
書面や式典などの場で役職付きの人物の名前を紹介する際は、敬称を付けるのが一般的なマナー。しかし、対象者が多数いる場合は限られた用紙のスペースを有効に使用したり、式典の進行をスムーズにしたりする目的であえて敬称を省略することがある。
敬称略は、そのような場面において、やむを得ない事情によって意図的に敬称を省略していることを示すために用いられる場合が多い。
■敬称略が使えるシーンと書き方
「敬称略」は主に以下のシーンで使用することができる。
・会議の議事録
・式典で表彰される場合の受賞者一覧
・イベントの協賛者名簿
これらの書面において「(敬称略)」や「以下、敬称略」などの注意書きとして用いられることがある。
また、口頭・メールでのコミュニケーションでは、「敬称略させていただきます」「敬称は省略させていただきます」のように使うこともある。
【例文】
「協賛者一覧(敬称略)」
「時間がないため、仕方なく敬称略して名前を読み上げた」
「この場合、敬称略になるのは常識的な範囲だろう」
■使用する際の注意点
基本的に敬称を省略するのは、対象者が多くて名簿に記載しきれないなどの「致し方ない事情がある場合」のみ。そのため、対象者が少ない場合にはきちんと敬称を省略することなく記載しよう。
また、敬称を省略する場合に「敬称略」を記載し忘れると、目上の人に対して失礼にあたる恐れがあるため、必ず記載するのを忘れないようにしよう。
「敬称略」の類語
次に敬称略と同じような意味を持つ、言い換え表現を紹介する。言い回しの幅を広げるのに、ぜひ役立ててほしい。
■呼び捨て(よびすて)
人の名を「君」「様」「さん」などの敬称なしで呼ぶことを意味する表現。
【例文】
「彼は部下を呼び捨てにしていた」
「ここでは年齢に関わらず、呼び捨てで名前を呼ぶことになっている」
「勝手に人の名を呼び捨てにするのは無礼だ」
「あの課長は同じ部署の部下なら誰でも名前を呼び捨てにする」
■呼び付け(よびつけ)
「呼び捨て」と同じ意味で、敬称を付けずに相手の名前を呼ぶことを表す言葉。
【例文】
「妹の名前を呼び付けにする」
「いつの間にか、先輩から名前を呼び付けにされていた」
「呼び付けで人の名前を呼ぶことはない」
「彼の許可を得て、名前を呼び付けにしている」
「敬称略」の英語表現
最後に、「敬称」の英語表現と「敬称略」を表したい時に使える例文を紹介する。
■title
称号や敬称、肩書きを意味する名詞表現だ。
【例文】
“We have omitted honorific titles here.”
(この場では敬称を略させていただきます)
“He is a man of title.”
(彼は肩書きのある人物だ)
■honorific
敬称を表す言葉だ。
【例文】
“I called his name with no honorifics.”
(私は呼び捨てで彼の名前を呼んだ)
“She used my name without an honorific title.”
(彼女は私の名前を呼び捨てにする)
■the Mr. and Mrs.
敬称を意味する英語表現。
【例文】
“We will dispense with the Mr. and Mrs. at the place”
(あの場では敬称を省略する予定だ)
“We haven’t used the Mr. and Mrs. here.”
(ここでは敬称を略す)
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部