電動車に用意されるAC100V/1500Wコンセントは強い味方に
さらにハイブリッドやPHEV車に用意されたAC100V/1500Wコンセントがあれば、車内外で家電品を使うことができ、湯沸かしポット、簡易電子レンジ、照明などの使用、ノートPCの充電もOKだ。つまり、クルマは災害時の生死を分ける、ひとつのプライベートな避難場所になるということだ。
車内のフルフラットアレンジの可否が車内避難の決め手に
ただし、アウトドアやレジャーユースとは違い、どんなクルマでも理想的な車内避難場所になるわけではない。2016年4月14に発生した熊本地震、2019年8月18日に発生した新潟県中越地震での報告にもあるように、車内避難を余儀なくされた人の中で、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)を発症し、中には死に至ったケースもある。これは、狭い車内のシートに座ったままの姿勢(足を動かさない姿勢)でいることで発症するリスクが高まると言われている。
よって、キャンピングカーはここでは除くとして、前後席、または後席と荷室、ミニバンの2/3列目席のシートアレンジで、フラットな床面、ベッドスペースがアレンジできるクルマが、そうしたケースでは(もちろん、アウトドアや車中泊でも)必須となる。フラットアレンジ時の全長(ベッド長)が、真っすぐ横になれる寸法が確保されていることも重要だ(これは使う人の身長による)。
そう書くと、大きなミニバンのようなクルマばかりを想像しがちだが、さにあらず。100万円台から手に入る軽自動車、5ナンバーサイズのハイトワゴン、コンパクトミニバン、ミドルサイズのミニバン、大小のステーションワゴンなどでも車内のお座敷化、ベッド化が可能になる(具体的な車種は改めて紹介したい)。
車内でのスマートフォンの充電は不可欠
そして車種を問わず、クルマの購入時にぜひ災害対策のためにも付けておきたい(別途、買っておきたい)装備がある。まずは災害時の命綱にもなりうるスマートフォンを充電するためのシガーソケットに対応するUSBソケット(短時間で充電できるPD規格が望ましい)、あるいは直接スマートフォンを充電できるUSBソケットだ(標準装備のクルマも増えてきたが、一部、オプションのケースも)。家や避難所が停電していても、クルマにガソリンが(電気自動車の場合はバッテリー残量)ある限り、スマートフォンを充電することができる。
ハイブリッドやPHEV車であれば、AC100V/1500Wコンセントが標準装備されている車種、グレードもあるが、オプションの場合はアウトドアやレジャーとしての車中泊でも有用なAC100V/1500Wコンセントを”保険”の意味を含め、ぜひとも注文装備しておきたい。クルマが電源車となり、車内外で家電品が使えるメリットは、停電した災害時には絶大なる安心、快適につながるからだ。