勉強する機会を得られて良かった!奨学金は貴重な制度
現在、奨学金をどう思っているか聞いたところ、もっとも多い意見は「勉強する機会が得られて良かった」が37.8%、「親に負担をかけずに済んでよかった」も同じく37.8%となった。
以下、「返済は思ったほどつらくなかった」「返済のため、生活が厳しい」「これから先の返済が不安」と続く。多数意見はポジティブだが、金銭面でややネガティブな意見がみられた。
前項のとおり、社会人生活をスタートする時点で多額の負債を抱えているケースもみられ、少なくない人が不安を抱えている一方、奨学金は勉強する機会を得られる貴重な制度であることが、あらためて明らかとなった。
男女で教育コストは同じでも、年収に24%の差!
次に、奨学金を借りた人にその年収を聞いた。年代別にみた場合、奨学金の額はあまり変わらなかったが、年収は20代が400万円のところ、30代が470万円となった。年齢にともなってキャリアが形成され、その結果、年収があがったのだろう。10年のキャリアで年収が18%あがった計算となる。それよりも、問題は男女差だ。
奨学金の額は男性が279万円、女性が284万円とほとんど変わらない。つまり、学業を修めるにあたり、金銭的に支援が必要な額は男女で変わりがないということだ。教育にかかるコストは男女で同じだと言い換えても良いだろう。しかし、年収は男性が478万円であるのに対し、女性は385万円に過ぎない。男性の年収は女性より24%多い計算となる。10年のキャリアによる年収アップの18%を超えているのだ。多大なコストを払ってきた女性からすると、とても納得いかないだろう。
少子化の進む日本で、労働生産性をあげるのは至上命題のはずだ。硬直化した労働慣行をあらためなければ、その結果が、そのまま我々に返ってくるかもしれない。
<調査概要>
調査名称:奨学金についてのアンケート
調査期間:2023年12月11日
調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する、20~39歳で会社員の男女
調査数 :912名。うち奨学金利用者は249名
調査方法:Webアンケート
出典元:カネとホンネ調査研究所
構成/こじへい