学費の給付および貸与を行う奨学金制度。経済的事情で進学が難しい学生を救済する一方、後々返済に苦しむ人もいるとされる同制度だが、実際のところ、サラリーマンで利用している人はどれくらいいて、平均いくらの奨学金を借り入れているのだろうか?
カネとホンネ調査研究所はこのほど、東京、愛知、大阪、福岡からなる都市部に居住する20~39歳で会社員の男女912名を対象に「奨学金についてのアンケート調査」を実施し、その結果を発表した。
サラリーマンのうち27.3%、4人に1人が奨学金を利用
20代から30代のサラリーマンに、奨学金を利用したかどうか聞いたところ、27.3%が奨学金を利用したと回答した。大学に進学したが奨学金を利用してない層は46.9%、大学に進学せず、奨学金も利用していない層は25.8%となった。
なお、サラリーマンのうち大学に進学したのは70.0%、そのうち奨学金を利用した割合(大学進学者のうち奨学金を利用した割合)は33.0%の計算となる。
奨学金の額は282万円。500万円以上借り入れるケースも
奨学金の金額と返済期間を聞いたところ、奨学金の額は平均で282万円、返済期間は13.5年となった。利子を除くと年間の返済額は20.9万円、月間だと1.7万円の計算となる。
産労総合研究所によると、2023年度の大卒初任給は21.8万円。手取りだと18万円程度になり、そこから1.7万円の支払いをするのは楽ではないかもしれない。
なお、20代と30代で奨学金の借入額や返済期間はほとんど同じで、ここ20年変わっていないことがわかる。
奨学金の額を詳しくみると、200万円台が32.1%でもっとも多くなっている。大学の4年間、毎月5万円程度を借り入れたものと思われる。高校や大学院でも奨学金を利用した場合、当然金額は大きくなる。400万円以上が23.2%、500万円以上でも11.2%となる。