政府が5年で1兆円を投資することを表明するなど、国を挙げてのリスキリング支援が進んでいる。こうした中、企業の「『リスキリング』や『学び直し』の取り組み状況」、「推進課題や推進のための支援策」は現状どのようになっているのだろうか。
リクルートマネジメントソリューションズはこのほど、「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」を実施し、182社の人事・人材開発の責任者・担当者から回答を得た。
なお、本調査では新しい知識・スキル獲得を会社が主導する場合を「リスキリング」、個人が主導する場合を「学び直し」として用語を使い分けている。
「リスキリング」「学び直し」への期待がある企業は6~8割だが、具体的なメッセージの発信は4割前後にとどまる
経営やマネジメント層から「リスキリング」「学び直し」への期待がある企業は6~8割。一方、具体的なメッセージが発信されている企業は4割前後にとどまる。「期待はあるが具体的なメッセージがない」状況にある企業は3割前後となった。
「リスキリング」に関して、従業員へ発信するメッセージは「会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」が7~9割
会社主導の「リスキリング」に関して、従業員へ発信するメッセージ内容は、メッセージを出している企業の7~9割前後が「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」、6~7割前後が「3.自社が新しい事業や市場を創造するために必要なこと」を選択。「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」とメッセージする企業も半数前後ある。
個人主導の「学び直し」に関しては、個人のキャリア形成のためとメッセージするか、会社の事業変革のためとメッセージするか、回答企業の傾向は分かれている。
999名以下・製造(9社)では、「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」であり「9.個人の主体性に任せた自己啓発的なもの」とする企業が大部分を占める。他方、1000名以上・製造(25社)では80.0%、999名以下・非製造(18社)では72.2%が「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」としている。
「生産性向上」「DX」「キャリア自律」の知識・スキル獲得に取り組む企業は半数を超える
「リスキリング」「学び直し」の知識・スキルの内容ごとの取り組み状況としては、「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「6.DXを推進するための知識・スキルの獲得」「12.従業員の自律的・主体的なキャリア形成のためのスキル獲得」の選択率が高く、実施企業の割合が全体で半数を超える。
成果実感の割合が5割を超えるのは「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「10.社内・グループ内の公募異動や副業制度などを通じたキャリアチェンジのためのスキル獲得」である。