3. 追証が払えない場合の対処法は「債務整理」
FX口座のマイナス分を支払うお金を準備できない場合は、債務整理を検討しましょう。新たにローンが組めなくなる、クレジットカードが解約されるなどのデメリットはありますが、借金の負担を軽減・解消できる可能性があります。
債務整理手続きには、主に以下の3種類があります。
(1)任意整理
FX業者と交渉して、マイナス分の支払い額を減らし、または支払い時期を猶予してもらいます。将来的に収入の見込みがあり、マイナス分の大半を支払いきれそうな場合は、任意整理がよいでしょう。
(2)個人再生
裁判所の手続きを通じて、原則としてすべての債務の金額を圧縮し、かつ原則3年間の分割払い(計画弁済)とします。
安定的・継続的な収入があることや、債務総額が5,000万円以下であることなどが利用の要件です。自宅の土地・建物を所有している場合は、処分を回避できる制度もあります。
(3)自己破産
裁判所の手続きを通じて、財産の処分と引き換えに債務全額を免除してもらいます。マイナス分が多額で到底支払えない場合は、自己破産を検討しましょう。
4. まとめ
FXなどの証拠金取引では、急激な相場変動によって予想を超える損失を被ってしまうケースがあります。
許容範囲を超えるリスクを負う取引は避けるとともに、万が一口座残高のマイナス分を支払えなくなったら、弁護士に相談して債務整理をご検討ください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw