マレーシア:労働市場全体が回復基調へ
<企業の採用動向>
採用環境は顕著な変貌を遂げつつある。様々な分野でオンライン求人広告が大幅に急増し、特に、情報技術、医療、エンジニアリング、金融、電子商取引が活発で、熟練したプロフェッショナルに常にチャンスがある状況だ。
さらに、再生可能エネルギー、デジタル・マーケティング、データ分析などの新興部門が牽引役となり、雇用全体を活性化している。
一方で、特定の分野、特にデジタル技術においては依然としてスキル格差があり、この問題に対処するための政府の努力が続けられているにもかかわらず、必要な専門スキルを持つ候補者を見つけることは依然として困難だ。
<求職者の動向>
採用の競争が激しく、各企業は特定の分野で必要なスキルと経験を持つ候補者を惹きつけるため、積極的に競争力のある給与を提示している。
求職者が最良の機会を得るためには、求職活動に一層の努力を払い、自分の専門性をアピールし、履歴書や面接で効果的に自己PRを行なう必要がある。このような積極的なアプローチは、一流のポジションに抜擢される可能性を高めるために不可欠だ。
タイ:EV 生産への支援措置が決定。中華系企業の進出も加速
<企業の採用動向>
日系企業においては、採用を年明けに検討する企業が多く、選考活動の動きは鈍った。中華系企業の進出に伴い、中国語スピーカーを求める求人が増加しているものの、母数が少ないことから採用活動が難航している企業も多い印象だ。
東南アジア内ではベトナムへの新規進出企業が増加しているが、タイでも引き続き進出を予定する企業が多く、新規設立に伴う現地スタッフの採用ニーズもある状況。マネージャーなどの管理職や、経理、IT といった専門職の募集ニーズがあるものの、人材不足により採用が長期化するケースも増えている。
<求職者の動向>
円安も追い風となり、子供の教育の為に海外移住を希望する求職者が増えてきた。ただし、タイのみを希 望する求職者は少なく、あくまで複数国のうちの一つとして捉えているため、待遇面や業務内容などタイ以外の国もベンチマークとする必要がある。
どれだけ求職者にとって魅力的なオファーを提示できるかが、 引き続き採用のポイントと言えるだろう。
インドネシア:2024 年の最低賃金上昇率は昨年に対し低下
<企業の採用動向>
2010年代からインドネシアに進出している多くの日系製造業は、設立から10 年以上が経っており、設立時に入社した社員の多くが現在幹部となっている。
このようなインドネシア人社員は数年以内に定年退職を迎 える年齢のため、多くの企業では現在、世代交代の採用活動を活発に行なっている。特に 30代後半から40代の経験を積んだ候補者を希望する企業が多くなっている。
日本人採用に関しては、これまで日本から駐在員を派遣していた企業が交代要員の確保が難しくなってきていることから、今までは駐在員のサポートポジ ションが多かった現地採用に関して、マネージャーや現地法人社長等のハイポジションに関しても現地採用で募集する企業が増えている。
<求職者の動向>
前期と大きく変わらない水準で転職希望の登録がある。多い年齢層としては 20〜30 代前半と50代後半〜60代となっており、ASEAN 諸国の中で比較的 VISA の取得要件が容易なため、他国での転職を検討していた求職者が検討範囲を広げて、インドネシアを含めて転職活動をすることも増えている。
コロナ以降、日本在住の求職者も増加しており、初めて海外転職に挑戦される人や、過去ASEAN 地域での勤務経験のある人が多くいる。