シンガポール:就労ビザ新基準COMPASSの導入による人材市場の変遷と企業の戦略的対応
<企業の採用動向>
2023年9月から施行された新しい就労ビザ取得基準である COMPASS の導入に伴い、企業は不透明な景気回復と新しい制度への様子見から、多くの企業で新規の採用数が減少傾向となった。
増員よりも既存のスタッフの退職に伴うリプレイスメントポジションが主なニーズとなった。特に、PMET(Professionals, Managers, Executives, and Technicians)の月給が 3000 シンガポールドル以上の従業員を雇用する企業は、COMPASSの影響を受けており、駐在員の交代や専門職の採用に困難が生じている。
<求職者の動向>
例年どおり、10~12月期には求職者の登録が減少傾向にあり、年末に向けてのボーナスや昇給を待つ人が増加していた。この傾向とは別に、業界ごとに見ても人材の流動性は低く、企業からの人材ニーズは存在するものの、求められるスキルセットに適合する候補者は少なく、売り手市場となっている。
さらに、2023年9月から導入されたCOMPASSの影響で、引き続きシンガポール人や永住権保持者など、ビザ取得の必要のな い求職者を求める企業も多く見受けられた。