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バス、新幹線、旅客機、プライベートな空間を確保できる「没入シート」が増えている理由

2024.01.21

中央シートを仕切って没入感を強化

一方、JR東海が、東海道・山陽新幹線でスタートしたのが「S Work Pシート」。

もともと同路線の「のぞみ」7号車は、「S Work車両」として事務作業が快適にできる環境を整えていた。これをリニューアルし、3列シートの一部において、中央のシートをパーテンションで仕切って、実質的に1.5席分を使えるかたちとし、より集中して仕事に取り組めるようにした。

中央をパーティションで仕切った「S Work Pシート」(写真提供:JR東海)

各席には、手元にスライドすると傾斜するテーブルを据え付けており、ノートパソコンの入力作業がしやすくなっている。

「S Work Pシート」は、昨年10月に「のぞみ」を皮切りに、「ひかり」「こだま」と順次拡大。現時点では、「エクスプレス予約」「スマートEX」からのみ予約が可能だが、今年の春より駅窓口での販売も開始するとしている。なお、このシートは、普通車指定席の料金に1200円を加算してのお値段となっている。

JAL初となる個室タイプに

旅客機の世界でも、“没入シート”と呼べる座席が登場し話題を呼んでいる。

JALが、国際線で新規導入したエアバスA350-1000型機のファーストクラス6席とビジネスクラス54席がそれにあたる。これら60席は、同社としては初の個室タイプとなる。

ファーストクラスの各席は扉で仕切られており、体圧分散構造でベッドにもなる大型ソファのほか、ワードローブ、ミニバー、手荷物収納も完備。頭上の空間は広く空いており、個室といっても閉鎖的ではなく心地よく過ごせるのが特徴。

ビジネスクラスについては、1人座席の個室的なたたずまい。四周はパーティションだが、高さは約130cmと、孤立感を抱かせない絶妙の高さに設定されている。また、隣の席を隔てるパーティションは電動で下げることができ、カップルでの旅など2人の空間を共有できる設計も心憎い。ファーストクラス同様、ワードローブと手荷物収納も設けられており、これまでのビジネスクラスの印象を覆すものとなっている。

また、エコノミークラスはさすがに個室仕様ではないものの、大きめのパーティションが付いているほか、レッグレストは腰の位置まで水平になるなど、リラックスしやすい環境となっている。

このエアバス機は、羽田=ニューヨーク線への就航を今年の1月24日より開始。さらに、2号機を年度内に導入するという。

円安などネガティブな要素があるとはいえ、日本人の旅行熱は今後盛り上がっていくことは充分予想される。あわせて、こうした“没入シート”の導入も業界各社は、力を入れていくことだろう。より快適な観光や出張を望むなら、このトレンドはチェックしておく価値はある。

取材・文/鈴木拓也

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